【ツイステ】モブなのに、絡んでくるのはなぜ？14 (ページ13)

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649話ページ13

それは紛れもなく、ファントムであるオルトくんだ。
まずいと判断したのか、リドル寮長は慌てた様子で叫ぶ。

「はっ！オルトが『タルタロス』の壁を登ってきた。もうすぐそこまで来てる！」

早急に対応しなくてはと寮長が叫ぶと、先輩は苛立ちを含んだ声で言った。

「ああもう、どうにでもなれだ！リドルさん、振り落とされないようしっかりつかまって！」

「ああ！行こう、アズール！」

2人はすぐさま『チャリオット』に乗り込むと、数分も経たないうちに機体は起動し始めた。
機体が浮上するのに合わせて、その周囲から強烈な風が吹き荒れる。

風に飛ばされないよう近くの岩にしがみついたまま、リドル寮長に向かって叫んだ。

「どうかお気を付けて！」

「ああ！」

寮長は力強く返事をし、2人を乗せた機体は上空を滑空しながら『タルタロス』へと向かった。

「おーーーーい、Aーーーー!!」

寮長たちを見送った後、遠くから自身の名を呼ぶ声を耳にする。
振り返ると、その先には大きく手を振ったままこちらへ駆け寄るスズキくんの姿があった。

「よかった、やっとAに会えた……」

急いで走って来たのか、スズキくんは激しい息切れを起こしたまま私の元へ辿り着く。

「スズキくん、何故こちらに？キングスカラー先輩たちと一緒だったのでは……」

「Aが1人になると思うから、一緒にいろってジャミル先輩に言われたんだよ」

「そうだったんですね……」

ようやく息が整い、スズキくんが私と顔を見合わせた途端、大きく目を見開く。

「って、なんだその怪我は!?一体何があったんだよ！」

「いや、それを言いましたらスズキくんも似たようなものでは……」

寮服はボロボロで、顔の所々にも小さな傷や痣がある。さらに右腕には何重にも包帯が巻かれていた。

その姿を見ただけで、あちらのタワーでも相当な死闘を繰り広げられていたことが分かる。
ようやく再会できた友人との喜びも束の間、リドル寮長たちが乗った『チャリオット』は『タルタロス』へと向かっていた。
その様子を見据えながらシュラウド先輩は笑う。

「フヒッ……ファースト・ステージは遠隔アタッカー＆ヒーラーコンビが相手か。さあ、オルト。張り切っていってみよ～～～!!」

両手を広げて愛する弟の名を呼ぶ。
怪物はそれに応えるかのように、敬愛する兄の背後へと現れた。

目的地へと辿り着いた『チャリオット』はゆっくりと下降していき、リドル寮長たちは同時に地面へ飛び降りる。