恋の始まりと終わり【wrwrd!】 (ページ44)

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生と死の間【ut】ページ44

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貴方と会う時はいつも、暗い暗い部屋だった。
深海のような暗さと静けさ。そこに光は差し込まない。

その部屋に、私と貴方を拒むものは、何もなかった。

「Aちゃん」

今日こそ、この関係に終止符を打とうと意気込んでいたものの、
玄関先でひとこと言われれば、なぜだか拒む気は起きず、いつも通りスリッパを用意する。

私のさじ加減ひとつで、今日の宿を無くすというのに、彼はいつだって自信満々だ。

「Aちゃん、もう風呂入ったんやろ？俺、シャワー浴びてくるわ。」

リビングから廊下へと続く扉が閉まった。

乱雑にタオルドライしたと思われる髪が前後に揺れる。

彼が私を押し倒し、体を適当に愛撫した。

『待って。』

「ん？」

喉が渇く。
私はじっと、鬱くんの目を見つめた。
少ない言葉で、私の気持ちの全てが伝わるように。

いつもは、長い髪の毛と、少し曇った眼鏡で見ることが出来なかった鬱くんの目。

こんなにも綺麗な目を見たのは、後にも先にもこの一回だけだと思う。

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