互いにとっての最適解【zm】 ページ42
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肌にまとわりつくシーツの冷たさに起こされる。
ベッドしかない殺風景な部屋とは不釣り合いの、重苦しいカーテンから漏れ出る光に、
朝が来たのだと気付いた。
手探りで下着を手繰り寄せて、ベッドに連れて来たはいいものの、下着自身が、夜露にさらされたように冷たい。
意を決してベッドから出る。
さほど寒くない部屋。むしろ、どことなく香る昨日の残り香と、人肌のような温かさに吐き気がした。
『帰ろう』
この部屋に住む肉食獣が起きるまでに、帰らなければ。
寝起きの頭に喝を入れ、スマホを確認する。
今日は土曜日。仕事はない。おまけに通知もゼロ。
「A、なぁにしてんの」
この部屋の主が起きてしまったようだ。
ここで一言返してしまえば、彼に隙を見せることになる。
彼の方に背を向け、無言を貫く。
「もしかして帰るつもり？」
『だったら何？』
「もう一回しようや」
『もう帰るってば』
「あ〜はいはい」
私の話を聞いているのかいないのか。
彼は私の手から鞄を取り、その場に落とした後、それにより空いた手を握った。
逆の手で私のスマホを取り上げ、弄っている。
逃げられない。
「これからデート…じゃ、なさそうやな。
じゃあええやん。なんも用事ないんやろ？」
彼はスマホを机に置くと、私の手を引いてベッドで仰向けになる。
その反動で、思わずベッドに膝をついてしまった。
これは非常にまずい。
『私だって暇じゃない』
「暇やって」
『ゾムに私の何が分かんの？』
「全部知ってるよ。」
ほら。
そう言って、私の感じる部分を指先でなぞっていく。
耳、唇、首筋、鎖骨、わき腹
腰まで優しくなぞった彼は、腰をギュッと抱き寄せて、耳元でささやいた。
「お前のいいところやったらよく知ってるで。
お前の彼氏よりな。」
そう言われてしまえば、一気に彼のペースにされる。
例えるならば、弱った心を好物とし、食い尽くすハイエナ。
弱った女と、元気の有り余った下半身。ギブアンドテイクの関係。
今日、私がだめなら他の女、その他の女、別の女、女、女。
そうなるくらいなら私と。 私の心を差し出すから。
もう何も考えられないくらい、求めてほしい。
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お気に入り、評価ともに、ありがとうございます。
更新遅れてしまって申し訳ありません。
別の界隈でいろいろありまして、なんだか気分的にも体調的にも、当分ハッピーエンドは書けそうにありません。ご了承ください。
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作者名：ミルコ | 作成日時：2019年11月2日 14時
