page150 海と十字架と ページ10
「…ン……ターン…スタァーン！！」
「うわぁあっ！？」
大きな声に驚いて飛び起きると、目の前にスタンがふよふよと浮いていた。
「スタンスタン〜！」
そこはベッドの上。側にある窓から朝日が射し込んでいた。
「あ…アラームなってたんだ…ありがとうスタン。」
「スタン〜」
お礼を言うと嬉しそうな声をあげた。ベッドから降り、着替え始める。全身を映す鏡の前で髪や顔色を確認していると、昨日見たあの痣が目にうつった。
「あれ…形が……」
痣の形が、昨日よりはっきりしている。菱形…トランプのダイヤのような形。そっと触れてみるが、やはり痛みは感じなかった。
「気味が悪いな…」
でも仕方ない。治るまで待とう。
ひとまず気にしないで着替えを続けた。
ミナト「さ、今日の朝ご飯は、僕とコウジさん特製サンドイッチだよ。」
シン「美味しそ〜！」
「「いただきますっ！」」
今日は体調がいい。準備を終えて食堂に行くときも足取りが軽かった。なんだかたくさん食べられそうだ。
カヅキ「おいタイガー。そんな慌てて食わなくても誰もとらねぇよ。」
タイガ「へっ？ひゅいまひぇんっ」
レオ「シン君ほっぺに卵ついてますよ〜？」
シン「うわぁあっ近いよぉ！」
相変わらず賑やかな人達である。こんな風に全員揃って朝食を食べることなんてなかなかない。
帰るの寂しいなぁ…あ、そうだ。
A「ごちそうさまでした。」
コウジ「え、もういいの？」
A「はい、少し行きたいところがあるので。」
心配そうな顔をするコウジに大丈夫ですよと伝え食堂をあとにする。別荘を出て、海に向かって真っ直ぐ歩いた。別荘から海はそこまで遠くない。すぐ帰ってこられる距離だ。
最後に見ておきたいしね…
だんだんと、波の音が近づいてくる。ふとスカートのポケットに手をいれると、何かが手にあたった。取り出してみると、それはカケルから貰った十字架の御守りだった。
あ…これ…持ってきちゃったのか。
御守りを見つめながら歩いていると、もう目の前に海が広がっていた。朝日に照らされてキラキラと輝いている。もう一度、手元に視線を落とした。
十字架…十字架……？
波の音が、１つの記憶を運んできた。海、夜の海だ。後ろには大きな十字架…いや、教会がある。
「「かわいそうに…これからはここで私達と一緒に暮らしていこうね…大丈夫よ…」」
黒い服…女の人だ。その横で泣いているのは子供。10歳くらいの子供……違う。
「私……？」
page151 届かない声→←page149 不思議な「あざ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 227人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kiko(プロフ) - コノミさん» コノミさん、いつも読んでくださりありがとうございます！本当ですか！とても嬉しいです励みになりますｯｯどうぞこれからもよろしくお願いしますね♪ (2020年4月9日 18時) (
レス) id: 92cacadd3e (このIDを非表示/違反報告)
コノミ(プロフ) - めちゃくちゃずっと読んでてめちゃ胸キュンします！！このシリーズは大好きなので 頑張ってください！ (2020年4月9日 0時) (レス) id: c314281d85 (このIDを非表示/違反報告)
kiko(プロフ) - えぃかさん» えぃかさん、読んでいただきありがとうございます！好みｯｯとても嬉しい褒め言葉です……まだまだ下手な文章ですがこれからも見ていただけると嬉しいです♪ (2020年2月11日 2時) (レス) id: 92cacadd3e (このIDを非表示/違反報告)
えぃか(プロフ) - めっちゃ好みの小説です！！続き楽しみにしてます！更新頑張ってください！！ (2020年2月11日 1時) (レス) id: 12b917d369 (このIDを非表示/違反報告)
kiko(プロフ) - いちごみるくさん» いちごみるくさん読んで頂きありがとうございます！そう言ってもらえて光栄です……(><)嬉しいです頑張ります！ (2020年1月13日 14時) (レス) id: 92cacadd3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kiko | 作成日時：2019年3月24日 2時
