page174 自分の居場所は ページ34
ーAsideー
ブレードがリンクの氷を削り真っ白い線が引かれていく。その線はあっちへいったり、こっちへいったり、はたまた円を描き模様のように広がっていた。
練習を積み重ねていると、1日が終わるのが早く感じる。あんに電話をかけてから、どれくらい経っただろうか。気づけばもう、大会まで1ヶ月をきっていた。
リンクから出ようとすると、そばで見守っていた速水ヒロが残念そうな表情を見せた。
ヒロ「あれ、もう終わり?もっと見てたかったなぁなーんて。」
A「ちょっと、行きたいところがあって。」
ヒロの言葉に申し訳なさそうに答える。すると彼は、Aの首にふわりとタオルをかけた。
ヒロ「そっか。お疲れ様。気をつけて行ってくるんだよ。」
暖かな目で笑いかけるヒロに、元気よく返事をしてその場をあとにする。
練習着から私服に着替えると、そのまま寮の出口へ向かった。
今日は、約束の日。彼女の待つ公園へ、行かなければならない。
寮を出て、公園の方へ向かった。どうやって誤解を解こうかと考えながら角を曲がった途端、まるで通さないとでも言うかのように彼が立っていた。
「……きっと後悔するよ。」
無表情で、じっとAだけを見つめながらそう言った。
A「……ルヰ。」
彼の言葉に返事はしない。その代わり、覚えていた名前を口にした。
ルヰ「行ってはいけない。貴方が行くべき場所は、他にある。」
この間といい、一体何が言いたいのだろうか。
A「そんなの知らない。私が今行くべき場所は彼女のところだよ。」
ルヰ「行ってどうするの。」
A「誤解を解いて、それから…」
ルヰ「和解したとして、貴方に居場所は与えられるの?」
居場所……?
ルヰ「君は本来、ここにいるべきじゃ…」
A「私の!!」
何故だろう。その言葉より先は全身が拒絶した。大きな声をだし、彼の言葉を遮る。
A「私の居場所は、私が決める。」
今まで無表情だったルヰは、少し眉間にしわを寄せた。その表情を見たあと、Aはルヰの横をすり抜けた。
彼の背中から伝わるオーラを感じながらも、振り返ることなく歩き続けた。
この時のルヰは分かっていたのだろう。後に起こるあの悲劇を……。
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kiko(プロフ) - コノミさん» コノミさん、いつも読んでくださりありがとうございます!本当ですか!とても嬉しいです励みになりますッッどうぞこれからもよろしくお願いしますね♪ (2020年4月9日 18時) (レス) id: 92cacadd3e (このIDを非表示/違反報告)
コノミ(プロフ) - めちゃくちゃずっと読んでてめちゃ胸キュンします!!このシリーズは大好きなので 頑張ってください! (2020年4月9日 0時) (レス) id: c314281d85 (このIDを非表示/違反報告)
kiko(プロフ) - えぃかさん» えぃかさん、読んでいただきありがとうございます!好みッッとても嬉しい褒め言葉です……まだまだ下手な文章ですがこれからも見ていただけると嬉しいです♪ (2020年2月11日 2時) (レス) id: 92cacadd3e (このIDを非表示/違反報告)
えぃか(プロフ) - めっちゃ好みの小説です!!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください!! (2020年2月11日 1時) (レス) id: 12b917d369 (このIDを非表示/違反報告)
kiko(プロフ) - いちごみるくさん» いちごみるくさん読んで頂きありがとうございます!そう言ってもらえて光栄です……(><)嬉しいです頑張ります! (2020年1月13日 14時) (レス) id: 92cacadd3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiko | 作成日時:2019年3月24日 2時