starlight night (ページ48)

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#61 side

「俺たちの写真も、めちゃくちゃ綺麗に撮ってくれるけどさ、」

山岡さんが並べられた写真を見ながら嬉しそうに呟いた。

「由伸はなんか、もう異次元なんだよなぁ…」

それは、オリックスの試合や練習風景を撮った写真。

そこから厳選して、ホームページやSNSにアップする。

そこにはAちゃんが撮った写真も幾つもあった。

どれも本当に良く撮られていて、写真に詳しくは無いけれどプロのカメラマンの人の物と比べても遜色ないほど。

その中には俺や山岡さんのものもあり、こんな格好良く撮って貰えているのかと嬉しくなる。

けれど、中でも由伸の写真は別格だった。

「光とか、アングルとか本当に上手いっすよね」

「写真には撮った人の魂がこもるとか言うけど、あながち間違いでも無さそうだよな」

「だってもう、これとか俺たちが知ってる由伸じゃないでしょ」

プレーシーンはもちろん、オフショットはさらに凄かった。

他の広報さんがその写真を見て、凄すぎてネットにアップするのをやめたほど。

多分広報としてはよろしくないのだろうけれど、その人の気持ちが分かる気がした。

そこには俺達が知らない由伸がいる。

練習上がりに歩いて来る途中でカメラの存在に気付き、ふと表情を緩めた由伸。

それは多分、Aちゃんにしか見せない表情だ。

由伸がAちゃんの事をとても好きなのも、そして、Aちゃんが由伸の事をとても好きなのも、その写真から十分すぎるほど伝わってくる。

間違いなく、Aちゃんにしか撮れない写真。

「まぁ、Aちゃんが自分の気持ちに気付くのはまだもう少し先かもしれないけどね」

「じれったいっすねーっ」

本当にじれったい。

どこまでも真面目な2人には、まだまだ時間が必要なんだろう。

そんな2人を見守りたいと思う自分がいる。
多分山岡さんも。

(きっと誰よりも、2人の幸せを願っている)