starlight night (ページ15)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:99,911 hit

14 ページ15

彼がお風呂に入っている間、自由に見ていて良いよと言われたテレビのチャンネルを回す。

テレビなんて、いつぶりに見たんだろう。

バラエティー番組に出ている芸能人を誰一人として分かることが出来ず、チャンネルを変えた。

「オリックスのニューエースに迫ります！！」

オリックスって何だっけ。野球チーム？

ぼんやり眺めていて、画面に映った人物を認めて飛び上がった。

「オリックス・バファローズの山本由伸です」

そこにいたのは、今お風呂に入っているはずの彼だった。

…プロ野球選手？

確かに、私は彼の名前も仕事も聞いていなかった。

テレビは今、山本由伸選手がいかに凄い人かを伝えているらしい。

強いチームを抑えて、沢山勝っているとのこと。
球が速くてどうやらとにかく凄いらしかった。

彼だ。間違いなく彼だった。

リビングを見渡すと、いくつかボールが飾ってあった。

どうして今まで気付かなかったのか、

それは私が自分だけを見て来たから。

やっぱりあの時、とっとと飛び降りてしまえば良かった。

有名人なら尚更、これ以上迷惑を掛ける訳にはいかない。

私は玄関へ向かった。

(ここにはもう、いられない)