優しく包み込む虹【ツナの娘】 (ページ3)

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１話ページ3

9年後 inイタリアボンゴレ本部

『(久しぶりにあの時の夢を見たな…)』

朝日の眩しさに目を覚まし、ベッドからモゾモゾと起き上がる。

私はあの時そう決意した後、1人でイタリアに渡った。ボンゴレ本部に住み、イタリアの学校に通ったのだ。

日本には夏休みの時しか帰省していない。

『(さて、今日は私達の誕生日パーティーだ…

…そういえば、パーティーの前にお父さんが話があるって言ってたなぁ)』

今日はボンゴレ本部で私達の14歳の誕生日パーティーを開催する日なのだ。

ジャージに着替え毎日の習慣のランニングをする為にトレーニングルームに向かう。

『っはぁ…っはぁ…っ』

広い無機質な空間に私の息が響く。

ーーコツン

私しか居ない空間に私以外の足音が聞こえた。

誰も来ないと思っていたから、思わず足を止めてしまった。

音の方に顔を向けると…

『っえ…？』

何と元アルコバレーノで、武術の達人の風様が居たのだ。

風「やはりAでしたか。おはようございます」

『お、おはようございます風様…』

風「それと、お誕生日おめでとうございます」

『ありがとうございます』

風「後程プレゼントもお部屋に持っていきますね」

『え、えっと…(どうしよう…もし涼子に見つかったら。せっかくのプレゼントが…)』

好意で贈られたプレゼントなのに、もし涼子が持っている事がバレたら失礼になると思い、口籠もってしまった。

風「ふふっ、大丈夫ですよ。プレゼントはお菓子なので」

『ありがとうございます！風様！嬉しいですっ(心読まれた…？)』

風「喜んで頂けたなら幸いです。……ところで、どうしてこんな所に？」

『毎日の習慣で…』

私がそう言うと風様は一瞬目を見開いたけど、すぐにいつもの表情に戻った。

風「毎日ですか……それはまたどうしてですか？」

『強くなりたいんです。私の大切な人が居るこのボンゴレを守るために』

私は風様の雰囲気で嘘偽りなく本心を言った方が良いと直感し、瞳を真っ直ぐ見つめながら理由を言った。

風「…良い瞳をしています。……Aは本当に沢田綱吉の娘なのですね」

風様はそう言うと、とても綺麗に微笑んだ。

『あ、ありがとうございますっ。風様！』

風「私も今日、パーティーに参加するのでまた後程お会いしましょう」

『はい』

そう言うと風様は長い一本の三つ編みを揺らしながらトレーニングルームを退室した。