綾薙学園の薔薇 (ページ9)

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8話ページ9

放課後、私達は音楽に合わせて基本の踊りを練習していた。

…だけど、星谷がワンテンポ遅れている。

周りのメンバーを見てると何となくコツが掴めてきたので、出来るようになったのだ。

すると…

ーーパンパンッ

鳳「どうした？今日はまた一段と気持ちがバラバラだねぇ」

全「…」

音楽の途中で鳳先輩がストップをかけた。

鳳「いいかい？ミュージカルで大切なのはチームワークなんだ。それぞれが良くても、気持ちが一つでなきゃそれはただの雑音でしかなくなる」

天花寺「自分より劣ってる奴に合わせる理由がどこにある」

その言葉に星谷は顔を上げた。

天花寺「そんなのまっぴらごめんだな。俺はやらない」

月皇「やらないんじゃなくて、出来ないんだろ？」

天花寺「何？」

天花寺の言葉に月皇が挑発をする。

月皇「協調性はゼロ。周りにチヤホヤされてきたお坊ちゃんには、難しい事かもな」

天花寺「ハッ、言いたい事はそれだけか」

天花寺はそう言うと余裕な顔で歌いだす。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿

天花寺の歌は流石の実力だった。

天花寺「フッ…」

月皇「っ…ふんっ」

天花寺は月皇に向かって勝ち誇ったような笑みを浮かべ、逆に月皇は悔しそうにしていた。

鳳「まぁ取り敢えず、テストステージの目標は脱落しない事。
それくらいのつもりで気楽に頑張ればいいさ」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
お風呂上がり、ジュースを買う為に自動販売機に行くと…

ーーニャーン

『ん？…ネコ…(どこから来たんだ？)』

自販機の側に灰色の猫が居たのだ。

猫は私に気が付いたのか足に擦り寄ってくる。

『どうしよう…』

この猫をどうすればいいのか悩む。取り敢えず、猫を腕の中に抱いて寮の入り口まで持っていく。

猫「ﾁﾘﾝ)ニャァ…」

天花寺「っっ…ダヴィアンー！！」

猫「ニャー！」

すると、寮に向かって帰って来た天花寺が猫に駆け寄って来た。

『(この猫、天花寺のペットだったんだ…)』

天花寺はかつてない程に笑顔で猫に抱き付く。

『プッ…あの、天花寺』

思わず笑ってしまい、天花寺に話しかける。

天花寺「！？桜宙…」

『その猫、天花寺のだったんだね。寮の中でうろついてたよ』

天花寺「！そうだったのか…というか、何笑ってんだよ！」

『フッ…天花寺、キャラ変わりすぎ』

天花寺「しょ、しょうがねーだろ！ダヴィアンは天使なんだからよ」

『(天使……似合わなさすぎ)』