☆159 ページ24
廉と連絡がつかなくなってから、
受験生の頃も、大学生になってからも
こんな場面を何度想像しただろう？
何度も何度も、
飽きるほど何度も想像して、
悲しくなって、
辛くなって、
諦めた。
想像の中の私は、
立ち竦んでいた。声も出なくて。
だけど、
それが現実になったら
「…………廉！」
物凄い大声で名前を叫んで
背を向けてしまった、その肩に手を乗せて
こちらを向くように引っ張る。
咄嗟に取った行動が、これ。
立ち竦む？
声が出ない？
……どこが。
必死だった。
ちゃんと、確認したかった。
「めっちゃ元気やん自分！」
あっははは！って廉が笑いながら言う。
顔をクシャッとさせて、
おかしそうに私を見る。
…廉だ。
意地悪そうで、子供っぽくて、
けっきょくは優しい、関西弁の廉。
私の知ってる、廉がいる。
「ってかな、Aが関東弁とか似合わへんねん」
「そんなん廉も」
「うっせ」
そうやって、イタズラっ子みたいに楽しそうに笑うとこ変わってない。
なんだ、なにも、変わってないじゃん……
廉の背後の夕日が眩しい。
きらきら。
胸が、鳴る。
「林檎、やるわ」
「なんでよ、折角もらったんに」
「俺、皮とか剥けへんし…」
「そんな理由ー？」
「つか包丁ムリ。せやから食べれん」
「やったらウチ来る？剥いたるで」
言ってから、後悔___うわ、何言ってんだ、わたし。
純粋に林檎剥いてあげようって考えだったんだけど、これじゃまるで家に誘ってるみたいな。
「ええの？」
「……え？あ…おん…」
「じゃーお邪魔するわ」
あれ？
意外とアッサリ？
なあんだ、私が深く考えすぎただけか！
ホッとひと安心。
「Aが包丁使えるなんて思うてなかったな」
「はあ？私を何やと思うてんの」
「危ないやろー？ほんまに大丈夫なん」
「何年1人暮らししとると思うてんの！」
今まで、何事もなかったかのように話してるのが不思議でたまらない。
でも、廉と離れたくない。
もし音信不通だったことをきいたら、どっか行っちゃうような気がして。
聞いちゃ、いけないような。
廉から話さないなら、触れないほうがいいような。
「1人暮らし、」
「さすがに自炊するようになるやろ」
「…いつから、こっち？」
「大学入ったときから」
「大学、ねえ…」
廉が苦笑いする。
そういえば、廉、
美大行くって言ってたなあと思い出した。
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れー。 - トラウマになりそうなほどに切なく物語を思い出すだけで胸が締め付けられます。こんなに感情が動いた作品は今まで読んできた小説で圧倒的に一番です。映画やドラマにしてほしいほどこの小説に惹かれてしまいました。大好きな作品です！ (2018年6月27日 10時) (
レス) id: 4792958e4f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 一番好きな作品です！！もう、10回ぐらいは読み返しました笑 定期的に見たくなります！ (2018年4月1日 0時) (レス) id: 7fb9479a8f (このIDを非表示/違反報告)
夏 - あー、頭がどうにも可笑しくなりそうです笑この作品を見ると、生まれた場所の東京と今居る田舎の県と、交わって感情移入がしやすいです。教えてくれたあの子に感謝。 (2017年1月21日 8時) (レス) id: ec0b94023c (このIDを非表示/違反報告)
むむ(プロフ) - この作品が占ﾂｸで一番好きです！いきものがかりさんのラストシーンにぴったりでこの曲をきくとこの作品を思い出してなきそうになります。お勉強頑張って下さい！ (2017年1月18日 20時) (レス) id: 092114e7d9 (このIDを非表示/違反報告)
なっぴぴ(プロフ) - 更新されててすごいびっくりしました！ほんとにうらつくの中で1番好きな作品です>_< (2017年1月18日 13時) (レス) id: d6fe05cabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2015年12月29日 10時
