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「とりあえず、そのパーカー羽織っとけ」
濡れちゃうから、と躊躇したけれど、
少しだけ冷たい秋の風が、濡れた体にあたって、震えた。
申し訳ないながらも、寒さに勝てず、パーカーを着た。
……廉の、匂いがする。
香水の。爽やかな、廉の匂い。
そしたら、廉が突然しゃがみこんで、私の脚の後ろと背中に手を添えると
そのまま立ち上がった。
所謂、お姫様抱っこ。
「……ま、ま、まって…!?」
「あんま騒ぐなや」
「おろして!ね、お願い!おろしてや!私、重いやろ!」
「……ごめん、予想より重い…」
「……」
「……予想よりは、やから」
「妙なフォローいいわ!!!だって廉細いもん!無理やて!おろして!」
「だから騒ぐなて」
「廉〜……!」
「うっさいな。黙って大人しくしとれや」
廉の強い声。
思わず顔を見上げたら、
任せとけ、ってクイッて口角上げる。
………だめだ。かっこいい。
かああって顏に熱が集中してくのがわかる。
黙ってる私を不思議に思ったのか、
前向いてた廉が私を見下ろす。
今みないで!わたしの顔、きっと真っ赤なのに…
願い虚しく、視線が合う。
途端に目を丸くする廉。
……ああ、バレてる…
恥ずかしい…
「……なに、…その真っ赤な…、」
「………」
「………」
「………」
「…あ、…あそこのショッピングセンター行けば服とか売っとるよな」
廉が歩き出す。
すれ違う人の視線は勿論、
廉にさっきの顔を見られたことが恥ずかしくて、
廉の胸元に顔を埋めた。
また、廉の匂いがして、ドキドキ。
なんか私、へんたいみたいでやだなぁ。
服屋に連れてかれて、
試着室でようやくおろされる。
恥ずかしすぎて、顔、みれない。
「わり、Aになんか服選んどいてくんね?俺タオルとか買ってくるし」
心愛ちゃんに声をかけて、廉が服屋を出て行く。
…また心愛ちゃんと2人っきりになっちゃった…
どうしよう、って頭抱えて悩んでたら、
心愛ちゃんが服を渡してきた。
「これで、いい?」
「……ありがとう!…あ、服のお金は…」
「私が払ったから」
「ええ?!どして」
「…………なんで、永瀬くんに本当のこと言わなかったの?」
不安そうな心愛ちゃんの顔。
ちょっとだけ涙目で、
私を押したことを凄く後悔してるんだなってわかった。
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◯◯(プロフ) - 最初に読んだのは一足遅い2018くらいなのですが大好きすぎて今から五周目入ります!!!年1ペースで読んでます大好き!! (2022年12月22日 13時) (レス) id: de6e03f4bf (このIDを非表示/違反報告)
momoka0709(プロフ) - このお話、本当に好きです。何回も読んでしまいます (2017年9月18日 0時) (レス) id: 4e5c643142 (このIDを非表示/違反報告)
平野ゆい - 私にもキュンキュンするような恋、したい!! (2017年2月24日 22時) (レス) id: a265317775 (このIDを非表示/違反報告)
かのん - 悪役になりきれない、根っこは性格の良い心愛ちゃんが地味に可愛いです(T-T)噛ませ犬感がもう…… (2015年8月11日 1時) (レス) id: 07aca28da1 (このIDを非表示/違反報告)
もず(プロフ) - ほんとこの小説すきです!読むたんびに☆の一番右連打したくなります笑 こんな恋がしたかったです(;_;)笑 更新楽しみにしてます^^ (2015年6月7日 23時) (レス) id: 1d4cc7955f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆい☆ | 作成日時:2015年3月31日 21時