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其ノ捌拾陸 ページ43

Noside

「あたしの名前はモンゴメリ。
ここはあたしの異能力で創った空間なの。
でも安心なさって。その白いドアから誰でも出られるわ。
お仲間を取り返したくなければですけど。」

「如何する心算だ?」

「簡単よ。この部屋のアンと遊んで頂きたいの。
アン、いらっしゃい。」

そう云うと、不思議な光に包まれるルーシー。

巨大な、そしてどこか禍々しい少女人形、アンが出現する。

アンを背後に控えさせて、残忍に微笑むルーシー。

巻き込まれた一般の通行人たちが、アンの姿を見て恐怖する。

「アンは遊ぶのが大好きの。」

「ひ……」

「すこし甘えん坊だけど可愛いのよ。」

アンの不気味な片目から、青い閃光が放たれる。

通行人たちは悲鳴をあげ、我先にと玄関扉に向かって逃げ出す。

「あっ、ただし、そのドアから出たら部屋の中の事は忘れちゃうわよ?よろしくて?」

ルーシーの言葉に誰一人として反応することもないまま通行人たちはドアを開け一目散に外に逃げ出して行った。

そして部屋には敦、谷崎、だらしなく床に座り込んだ白衣の男、そしてその男の傍らに立つ白パーカーの少女の四人だけが残る。

「残ったのは四人だけ?」

「此処は危険です。逃げた方が佳い。」

逃げ遅れてしまった白衣の男と白パーカーの少女を心配するように、敦が云う。

「……女の子を探してるんだ。
天使のように可愛い子なのだよ。」

「……私も、人探ししてるんだよねぇ。
背の低い可愛い男の子。」

「何処かで見なかったかな?」

「何処かで見なかった?」

「いえ……残念乍ら。」

「そうかい……」

「ふぅん……」

「エリスちゃんと云う名でね。
もう目に入れても痛くない位愛らしいのだよ!
あ、真実(ほんとう)に入れたら少し痛かったがね。
兎に角この娘と(はぐ)れて私はもう気が気でなくって……」

「……流石、ロリコン。」

ぼそっとそう呟いた少女は、

「私が探してるのは、兎に角可愛い、涙くんって云う男の子。」

そう云って立ち上がった男と、少女は同時に奥の扉に目を向ける。

「あの扉の向こうに……」

「居るかも知れない。」

「若しそうなら、今逃げたら一生後悔する。」

「と云う訳で、私も残るよ。」

「……判りました。」

「ルールは簡単よ!
可愛いアンと追いかけっこをして、タッチされたら皆さんの負け。
捕まる前にその鍵でドアを開ければ、皆さんの勝ちよ。
人質をみんなお返しするわ。」

敦と谷崎の目前に鍵が出現し、浮遊する。

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舞花 ひめ(プロフ) - るぅとさん» 有難う御座います!そう云って頂けると私も頑張れます!これからも応援、宜しくお願い致します。 (2019年8月22日 7時) (レス) id: 6d7eb9b273 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと(プロフ) - 更新お疲れ様です!! ご自分のペースでいいので頑張ってくださいっ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 4ba8ceef5d (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - いずなさん» 有難う御座います!楽しみにして下さってる皆様の為にも、引き続き頑張って行きますので、これからも宜しく御願い致します。 (2019年7月8日 6時) (レス) id: 052a536090 (このIDを非表示/違反報告)
いずな - この物語面白いです!忙しいと思いますが更新頑張ってください!続き楽しみに待っています (2019年7月6日 2時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!更新頻度が落ちないよう努力していくので、これからも応援、宜しく御願い致します。 (2019年6月1日 18時) (レス) id: 90e19b9523 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年6月1日 8時

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