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其ノ肆拾陸 ページ3

Aside

立原クンは、そんな銀を見て笑っていた。

……この様子だと、あのことは知らないみたいだね。

「そんなこと云ってると、そのうち噛み殺されちゃうよ?」

誰に、とは云わないけど。

立原クンは、何のことだか判らないようで、首を傾げている。

「いや、何でもない。皆は今から仕事?」

私がそう尋ねると、皆が頷く。

「そっかー。ご苦労さま〜。あ、そうだ!……龍くん。」

私は、龍くんの側まで行って、耳元に顔を寄せる。

「そろそろだと思うから、準備しといてね。
……この前みたいな失敗は、許さないから。」

小声でそう囁くと、龍くんを纏う雰囲気に緊張感が走る。

うん!これで大丈夫そうだね。

「よし!涙くん、次の処行くよ。」

「嗚呼。」

「じゃ、お仕事頑張ってね〜!」

「失礼する。」

龍くんの部屋を出た私達は、薄暗い廊下を歩き出す。

それにしても……

「立原クンか〜」

「立原が如何かしたのか?」

「いーや、何でもない。却説、次は姐さんの処だね。
……その前に、お昼にしようか。」



お昼を食べた私達は、姐さんの部屋に向かう。

あ、姐さんに鏡花ちゃんのこと云わなきゃ。

面倒だなぁ。

「はぁ……」

「如何かしたのか?」

「ん〜、まぁね。」

「その姐さん……という人に会いたくないのか?」

「いーや。そういう訳じゃないよ。
基本的に姐さんは好い人だし。
ただ、鏡花ちゃんへの愛が重いみたいなんだよねぇ。
だから、ちょっと面倒だなぁって。」

「……そうか。」

「あ、此処だよ。姐さんの部屋。」

扉を数回叩くと、中から姐さんが出てくる。

「Aか……ん?其奴は……」

「今日は、彼の紹介で来ました。
それと、ご報告がありまして……」

姐さんは、和服の袖で口元を隠しながら、上品に笑い、

「立ち話なぞ、首領補佐殿にさせられんのぅ。」

私達を中に招き入れた。

「あ、姐さん。飲み物は、紅茶でお願いします。
種類は何でも構いませんので。」

席についた私は、いの一番にそう云った。

(わっち)にそんなことを云えるのは、Aぐらいじゃな。」

そんな厭味(?)を云いつつ、姐さんは紅茶を淹れてくれた。

「有難う御座います、姐さん。」

「それにしても、Aが紅茶とは……珍しいのぅ。」

自身も紅茶を飲みながら、そう尋ねる姐さん。

「彼が好きなんですよ。」

私がそう答えると、涙くんは嬉しそうに微笑んだ。

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舞花 ひめ(プロフ) - るぅとさん» 有難う御座います!そう云って頂けると私も頑張れます!これからも応援、宜しくお願い致します。 (2019年8月22日 7時) (レス) id: 6d7eb9b273 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと(プロフ) - 更新お疲れ様です!! ご自分のペースでいいので頑張ってくださいっ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 4ba8ceef5d (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - いずなさん» 有難う御座います!楽しみにして下さってる皆様の為にも、引き続き頑張って行きますので、これからも宜しく御願い致します。 (2019年7月8日 6時) (レス) id: 052a536090 (このIDを非表示/違反報告)
いずな - この物語面白いです!忙しいと思いますが更新頑張ってください!続き楽しみに待っています (2019年7月6日 2時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!更新頻度が落ちないよう努力していくので、これからも応援、宜しく御願い致します。 (2019年6月1日 18時) (レス) id: 90e19b9523 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年6月1日 8時

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