其ノ陸拾壱 ページ18
Noside
いまだ壁の鎖に両手を拘束された太宰が、暢気に欠伸などしながら捕まっている。
「(予想通りなら今頃彼方も……)」
自分の手首の手枷を見る。
「……頃合いかな?」
「相変わらず悪巧みかァ、太宰!」
「……その声は。」
階段を降りてくる男が、太宰を見て楽しそうに笑みを浮かべる。
「こりゃ、最高の眺めだ。百億の名画にも優るぜ。」
その男の正体は──
《ポートマフィア》幹部
中原中也
能力名『汚れつちまつた悲しみに』
「最悪。うわっ最悪。」
「良い反応してくれるじゃないか……
嬉しくて縊り殺したくなる。」
「わあ、黒くてちっちゃい人がなんか喋ってる。
前から疑問だったのだけど、その恥ずかしい帽子、どこで購うの?」
「云ってろよ
良い年こいてまだ自 殺がどうとか云ってんだろどうせ。」
「うん。」
「否定する気配ぐらい見せろよ……
だが今や手前は悲しき虜囚。泣けるなァ太宰。
否、それを通り越して──少し怪しいぜ。」
中也は太宰の頭髪を掴む。
「丁稚の芥川は騙せても、俺は騙せねえ。
何しろ俺は手前の元相棒、だからな。
……何をする積りだ?」
「何って……見たままだよ。捕まって処刑待ち。」
「
そんな愚図なら、俺がとっくに殺してる。」
「考え過ぎだよ。心配性は禿げるよ。はっ、まさかでも」
「ハゲ隠しじゃねえぞ。一応云っとくが。
俺が態々ここに来たのは、手前と漫談する為じゃねえ。」
「じゃ何しに来たの?」
「厭嫌がらせだよ。」
「……!」
「あの頃の手前の『嫌がらせ』は芸術的だった。
敵味方問わずさんざ弄ばれたモンだ。だが──」
中也が凄まじい回し蹴りで、太宰の頭上を払う。
太宰の背後の壁の一部が破壊され、太宰の手枷に繋がれていた鎖が途中で切れる。
「そう云うのは大抵、後で十倍で返される。
手前が何を企んでるか知らねえが……
これで計画は崩れたぜ。俺と戦え、太宰。
手前の腹の計画ごと、叩き潰してやる。」
「……中也。」
「あ?」
パチンと指を鳴らす太宰。
その瞬間、太宰の両手の手枷は左右共に解けて落ちる。
「君が私の計画を阻止?……冗談だろ?」
「何時でも逃げられたって訳か。
良い展開になって来たじゃねえか!」
速度は東南東に20
公海に向け進んで居る──。
海の上を、探偵社の小型高速艇が進んでいく。
「死ぬなよ、小僧……」
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舞花 ひめ(プロフ) - るぅとさん» 有難う御座います!そう云って頂けると私も頑張れます!これからも応援、宜しくお願い致します。 (2019年8月22日 7時) (レス) id: 6d7eb9b273 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと(プロフ) - 更新お疲れ様です!! ご自分のペースでいいので頑張ってくださいっ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 4ba8ceef5d (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - いずなさん» 有難う御座います!楽しみにして下さってる皆様の為にも、引き続き頑張って行きますので、これからも宜しく御願い致します。 (2019年7月8日 6時) (レス) id: 052a536090 (このIDを非表示/違反報告)
いずな - この物語面白いです!忙しいと思いますが更新頑張ってください!続き楽しみに待っています (2019年7月6日 2時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!更新頻度が落ちないよう努力していくので、これからも応援、宜しく御願い致します。 (2019年6月1日 18時) (レス) id: 90e19b9523 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年6月1日 8時