其ノ拾玖 ページ20
Aside
敵の視線と特長から一人を絞り、其方を一瞥してから、叫んだ敵に近付く。
「どうして急に教える気になったんです?」
「其奴は、俺の親友なんだ!
……ポートマフィアに二人で入った時から死ぬ覚悟は出来てる!だから…………お願いだ。
苦しめないで……せめて、楽に逝かせてやってくれ!」
親友…………ねぇ。
「下手に命乞いしない辺り、好感が持てます。
……良いでしょう。
痛み無く、皆仲良く逝かせてあげます。特別に……ね?」
次の瞬間には──ほぼ全員が絶命していた。
理由は簡単……私が影をそう操ったからだ。
影を使って敷石を噛ませ、顎を砕かせる。
ひっくり返して、取り込んだ銃弾を三発ずつ撃ち込ませる。
ほんと、私の影……異能力は便利なものだ。
「却説と……」
残ったのは、敵方の長と私だけ。
赤髪の長に、私はゆっくりと歩み寄る。
長はゆっくりと顔を上げ、私を睨み付ける。
……視線が交わった瞬間、私は歩みを止めてしまった。
赤みがかった短髪に、鳶色の瞳…………
思い出したのは、一人の男。
この長は、何処と無く
おっと……いけない、イケナイ。
仕事は確りやらないと……
昔を懐かしむ暇なんてないね。
そう割り切って、再び歩き出す。
「そうでしたか、貴方が……
貴方みたいな
長は子供……少年だった。
年齢はおそらく、十四〜五歳。
「如何やって、彼らを統制したんですか?」
こんな少年の云う事を、マフィアを裏切ろうとしている男達が素直に聞くとは思えない。
「如何いう裏があるんです?」
「!」
相手は少年だからね……優しく、微笑んであげないと。
「…………異能を利用したのと洗脳。」
「異能?異能力者なんですか?」
私の問いに、少年は黙って頷いた。
私は首領補佐という立場上、マフィア内の異能力者は大体、把握している。
なのに、私はこの少年を知らなかった。
理由はおそらく……
「異能力について……
マフィアに申告してなかったでしょう?」
その問いにも、少年は黙って頷いた。
「成程ね……」
私は暫しの間、思案した。
少年の方をちらりと見る。
死を受け入れているかのような、諦めの意が含まれた冷たい瞳。
然し、どこか焦ってるようにも見える。
…………取り敢えず、連れて帰るか。
そこまでが仕事だしね。
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舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います!涙香くん、可愛いですよね!私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる!応援してます。更新頑張ってください! (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです!▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい!応援してます! (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです!!この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます!!これからも、応援してます(´ω`*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年3月1日 7時