芥川龍之介の相棒

其ノ弐拾参 ページ24

Aside

…………何か、気分悪い。

別に、体調が悪い訳ではない。

ただ、何とも云えない複雑な心情が渦巻いて、自分でも如何したら良いか分からなかったのだ。

「……龍くんの処行こう。」

龍くんと話せば、心の蟠(わだかま)りだって解消する筈！

龍くんが相手にしてくれなくても、龍くんの顔を見るだけで何とかなる気がしていた。

なのに、なのに……

「何で龍くん居ないの！」

龍くんは、執務室に居なかった。

机に残された資料を見る限り、どうやら仕事に行ったらしい。

「待ってたら、帰って来るかな？」

努力家で、優秀な龍くんのことだ。

さっさと仕事を終わらせて帰って来るに違いない！

そう思って、ソファーで寛いだり、涙くんの件について考えてたり、人虎捕獲の作戦を練ったりしていたのだが……

待てど暮らせど龍くんは帰って来ない。

心の蟠りが解消されていないのに、龍くんが帰って来ない苛々が重なり、機嫌がどんどん悪くなっていく。

そうして待ち続け、遂に日が昇り始めてしまった。

仕方が無いので、龍くんと会うのは諦める。

ポートマフィア、色んな意味でブラック過ぎるでしょ！

龍くん、お昼も人虎確保の為に働いてたよ？

何時、寝ろって云うの？

二十四時間勤務とか有り得ないから！

あ、でも……龍くんって毎日二時間しか寝てないんだっけ？

躯のメカニズム的に不可能じゃない？

何で毎日あんな元気なの？

そんな事を考えつつ、涙くんが眠る仮眠室を目指す。

そこで、私は更に機嫌を悪くすることになる。

「もう少し、物分りのいい子だと思ってたのに。」

涙くんは、仮眠室に居なかった。

ベッドが使われた形跡はあるし、一度は寝たらしい。

だけど、お姉さんのことが心配で寝付けなかった。

そんな時、内側から鍵が開けられることに気付いてしまい、居ても立っても居られなくなった。

部屋を抜け出し、単独で犯人の処に向かった。

……そんなところかな。

私が助けてあげるって云ったのに…………

まぁ、行っちゃったものは仕方が無い。

却説、如何しようかねぇ？

……昨日、犯人が誰か聞いとけば良かった。

先ずは、それを調べるとこからか。

きっと、行く頃には窮地(ピンチ)になってるだろうから、どうにかしてあげないと。

お姉さんは……救えるかなぁ？

一寸、微妙かも。

そう考えると、時間がない……

ま、頑張るか。

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