【ジョジョ4部】蠱惑的インクルージョン (ページ32)

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「東方くんもそういうことするの？」
「俺を何だと思ってんだよ」
「あんまり甘いものとか興味ないと思ってた」
「仗助くんは食べ盛りの高校生っスよ～。けど、何でかおふくろにはバレんだよなァ。女の勘はこえーぜ」

冷蔵庫の中に「食べてください」とばかりに収まっていたら、お菓子の一つや二つ、つまみたくなるものである。
Aは意外だと言うが、真面目そうな彼女から「つまみ食い」なんてワードが出てきた方が驚きだ。

間を持たせようとしたわけではないのに、不思議と会話が途切れない。
漫画は読まないとか、音楽を聴くのが好きだとか、実は気が合うことが分かってつい声が弾む。

今までは学校で顔を合わせるのは億泰が連れてきたときくらいだったが、次はこちらから誘ってみるのもいいかもしれない。

飯食おうぜと隣のクラスに突撃したら彼女はどんな反応をするだろうか。そう考えるだけで胸が高鳴るようだった。

◇◇◇

そんな休日を挟んだ後の平日。
仗助はまたもや憂鬱だった。

放課後、杜王グランドホテルを訪ねた際ジョセフに「散歩に付き合ってほしい」と頼まれたまでは良かったのだが、またしても彼がどこかへ行ってしまったのだ。

「あんのクソジジイ～～ッ！」

ボケ始めているとの言葉通りにご老体なのに、少し目を離した隙にいなくなる機動力は何なのだろう。
赤ん坊を拾ってからは少ししゃきっとして杖もあまりつかなくなった、その影響だろうか。

元気になるのは歓迎するが、迷惑をかける方向に活かさないでいただきたい。

大体、ふらふらと彷徨って遠くへ行きすぎないために仗助に声をかけたというのなら、何故その仗助から離れるのか。

天気のいい午後、人通りの多い駅前で仗助は深くため息を吐いた。

(承太郎さんに怒られたらあんたのせいっスからね～ッ)

責任は丸投げしてやると眉を寄せる。さて、どこから探したものか。

特徴のある外見なので、また聞き込みをする羽目になるかもしれない。

と、噴水広場から離れたところにあるベンチに、彼の背中を見つけた。

思ったより遠くへ行っていないことにまた息をつく。今度は安堵の意味合いが大きい。

大股で距離を詰めると、彼の隣に同じ高校の女子生徒が座っていることに気付いた。

「あやすのが上手じゃの～」
「そうですかね？」
「…ってAじゃあねーか！」
「東方くん？」

サングラスをかけた赤ん坊に笑いかけていたのはAだった。