milky way 4

192. ページ42

.


とうとう、最終日。

この5日の沖縄への逃亡は今日で終わる。


ひろと別れて、毎日が辛くて、でもひろに迷惑かけたくなくて。

そんな時に助けてくれたり、協力してくれた藤ヶ谷さん、横尾さん、摩耶、薫…。



みんなには感謝しきれないよ…。


荷物を持って空港へと向かう。

深く深呼吸。

…やっぱりまだ不安だよ。



北｢東京に戻るんだな。

はぁ、嫌だなぁ。(笑)｣


｢…どこにも行かないでね。

ひろは私と一緒にいて？｣


北｢分かってるって。


もうどこにも行かないから。｣




飛行機の中では行きと同じように爆睡のひろ。

私はそんなひろの寝顔をずっと見ていた。



何ヶ月もあってなかったのに、そんな気がしないくらい濃い旅行だった気がする。

ひろはもう遠い存在なんかじゃない。

隣にちゃんと居て、これからも隣にいてくれる。



｢…本当にシリウスみたいだなぁ。｣




銀河系の中で1番輝くシリウスは冬の大三角形のひとつの星でもあって、夏には見えない。

それは昼間に青空の中にあるから。

冬の夜空を輝かせてくれるシリウス。


私が名前もなくて目で見えないような星だとしたら、ひろは夜空に1番輝くシリウス。

そのくらい輝いてる。

ひと目でわかるシリウスはみんなを明るく照らしてくれてるから遠い存在なんかじゃないよね？


私がひろとであって、ひろがシリウスみたいだなぁって思って、そのひろが"Milky Way"っていうお店で働いていたのは偶然なんだよね？

milky wayって、銀河系表してるんだけど、天の川を意味してて。


天の川って7月7日の七夕で有名だけど、冬だってあるんだよ？

冬の天の川に、シリウスがある。


なんかすごい素敵な気がする。

織姫と彦星見たいに離れ離れになっちゃったけど、またこうして会うことが出来た。

…でも、織姫と彦星は一年に一度しか会えないってお話になってるから、私達はずっと一緒にいられますように。

今度、冬の空を見て、お願いしよう。


そしたら絶対叶う気がするから。




.

193.→←191.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す