トロイの馬 (ページ6)

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作戦決行の日はそう遠くはない。何となくそう感じていた。
作戦なんて言えるほどのものではないけれど、馬鹿で一途な女の子を演じて彼の心が完全にこっちに向いたところで別れる。ただそれだけ。

樹くんの女遊びが落ち着いてきたのにも薄々気がついていたし、ね。

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『あとどのくらいで仕事終わりそう？』
『今日は定時で上がれそうだよ。どうしたの？』
『来ちゃったわ、下』
『うそ！！すぐ終わらせる！どこか入って待つ？』
『いやあと三十分ならここで待ってるわ』
『りょうかい！！』

斜め後ろのデスクにいる松村くんにやり取りのスクショを送る。今日かも、と言う言葉と共に。

『家ついたら電話して、迎えに行く』
『ありがとう』

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実はもう二人の家は解約が決まっている。私名義で借りたアパートとは今月でさようなら。

次の家は松村くんと共に決めた。押しかけて来るかもしれないからとセキュリティ対策のしっかりとしたマンションを借りた。松村くんの家とも近いため何かあったらすぐ駆けつけると言ってくれた。

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もう少しで全てが終わる。

幸せまでは奪わせない。

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