あざといアイドルに恋した。《Ryohei.A》Part3

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家に帰って来ても自然と涙なんて出てこなかった。


失意喪失ってやつ？もう心が空っぽ。




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勘違いだと思いたい。


だけど目を擦ってみてもそれは現実で、あれは紛れもなく阿部さんだった。




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女の人すっごく綺麗な人だった。私とは比べものにならないくらいの。




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なんだ。阿部さん彼女さん居た、んだ…


だったら先に言って欲しかったよ。




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あ 「期待、…させないでよ」




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一人静かな室内でつい心の声が漏れる。




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私の前で優しい笑顔を見せてくれたり


わざわざお店に来てくれたり、家まで送ってくれたり


そんなことされたら誰だってもしかしたら…って勘違いしちゃうよ。




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でも、私は忘れてたんだ。


阿部さんは芸能人で、私は一般人。


このふたりが釣り合うことなんて、そもそもあり得ない。




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そんなことを忘れてた私は本当にバカで。


今に始まったことじゃなくて、最初から気付いていればこんなに傷付くことはなかった。


そもそも阿部さんを好きになっちゃ、いけなかったんだ。




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あ 「…阿部、さん」




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でも、悪いのは阿部さんじゃなくて貴方を好きになってしまった私。




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今までの阿部さんとの思い出が蘇る。


ハンカチを貸してくれたコト、何度も会いに来てくれたコト、勉強を教えてくれたコト、看病してあげたコト、全部全部が大切な思い出。


でも、もうそれも全部忘れなきゃ。




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阿部さん…


私はあなたのことが大好きでした。




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でも今日でそれも終わり。




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これからは一ファンとして


視聴者として、あなたを応援することに決めました。




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あ 「…大好き、でした」




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人生で二度目の失恋。


でもよっぽど今の方が清々しい。私、少しは強くなったかな？


ありがとう、大好きでした。さようなら。




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阿部、さん。




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