彼氏は声優男子【梅原裕一郎】

episode 5 ページ6

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何で、何で梅ちゃんがここに？
どうして？こんなどこにでもあるコンビニに？




私の頭の中が何で、どうして、という言葉で埋め尽くされていく。




私がずっと固まっていると、梅ちゃんが沈黙が気まずかったのだろう、私に話しかけてきてくれた。




｢えっと…、僕のことご存知なんですね、ありがとうございます｣




こういうのは慣れているのだろか、それともバレてしまったら仕方ないのか、




冷静じゃないのは、私だけみたいね




｢…ずっとファンでした。お会いできて光栄です。これからも応援しています、頑張ってください｣




心の中の自分はテンションが上がりまくっているのに、
言葉に出てきたのは営業口調のテンプレみたいなセリフだった。




｢ありがとうございます｣




梅ちゃんは爽やかな笑顔でそういうと、再びサングラスをかけ、軽く会釈をするとレジに向かった。




私も軽く会釈をして、そのままコンビニを出た。




やっぱり、私には『画面の向こうの梅ちゃん』で充分なのかもなあ…




案外、名残惜しくないのが自分でも不思議に思う。




憧れの梅ちゃんに会えたのに、どうしてこんなにモヤモヤするんだろう




｢…梅ちゃんに会えて、すごく嬉しいはずなんだけどな……｣




私の小さい独り言は、冬の夜空に消えていった。




□■□■□■□■□■




｢…焦った…｣




まさかこんなところで自分のファンに会うなんて、




迂闊にサングラス外したのがダメだったか…




俺は今、レジを済ませながら、さっきの出来事を思い出している




にしても、俺のファンとか言ってたわりには、普通のファンの子達より大人しかったし




あまり嬉しそうには見えなかったな…




少なくとも俺の目にはそう見えた




確かに、ここはライブ会場でもないし、
あの人もあの人なりに気を使ってくれたのかな




まあ、もうこのコンビニは使わないし、
多分あの人とももう会うこともないだろうな




『ありがとうございましたー』




ここの店員さんの声を聞くのも、これが最後かな




都心から少し離れてて、しかも自宅も近かったし、結構便利だったんだけどな…




｢結局、もとはといえば俺の迂闊さが問題なんだよなあ｣




そうして、俺は名残惜しくもそのコンビニを後にし、自宅へ向かった。









まさか、さっきの女の人にストーカーされることになるとは思わずに

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