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金曜日。


この光景を、恐れていた。



「なんでなん…」


マルの姿はどこにもない。


自分のなかの何かが、ぐらんぐらん揺さぶられて、少し苦しい。



マル、どうしたん?



風邪を引いたなら、「早よ治してな」の一言を言いたい。俺に言ってくれたみたいに。




部活の間もあいつが頭から離れなかった。結局、会っても会わなくてもあいつは俺の中に居座っていた。




部活終わり、部室の前でスマホを取り出して、亮のトーク画面を開いた。




『なあ。陸上部って今週なんかあるん?』



マルの連絡先を教えてと言えたら早いのに。意地っ張りな自分が、嫌になる。



学校の最寄りの駅に着いた。亮から返信が来ていた。





『強化合宿やで、5日間の。一部の部員だけ』



合宿。



誰がおるの?


あの、2年では速いほうかなって、遠慮がちながら得意げでもあった、あいつは?




『それ2年生もおる?』




これじゃ謎解きのヒントを欲しがってるみたいや。思い切って、核心に触れられない…






急に震えた携帯。亮から、着信のバイブレーション。




通話ボタンを押して耳に当てた瞬間、携帯を落としそうになった。




『章ちゃーん!足大丈夫ー?マルちゃんは元気やでーー!!』




……!



「ま、る…」


『章ちゃん、声聞きたかった!俺、月曜から合宿やったんすっかり忘れてて!この前ちゃんと耳に焼き付けとけばよかったわぁ、章ちゃんの声!』



「…もう、」




合宿忘れるてどんだけアホやねん。


だいたい、電話でも声でかすぎやねん。


そんな言葉を飲み込んで、するりと出て来たのは…



「マル、いつ、帰ってくるん…?」



情けないほど弱々しい、問いかけだった。



『え、章ちゃ…』

「さ…、っ、」


『章ちゃん…?』



「寂しいねん、あほ…!何も言わんと急にどっか行かんでよ!あほっ…マル…」



たった1週間やったのに。


うっとおしいって思ってたはずなのに。




陽だまりみたいな笑顔と、甘い甘い声と、温もりが恋しくて仕方ない。


いつだって優しくて、大好きでいてくれて、心配したりデレデレしたり感情が忙しいあいつに、気がつけば心を捕まえられていた。



アホは俺やな。離れてからしか気づけないなんて。



発車音が鳴るホームで、ぽろぽろ落ちる涙をごしごし拭った。



『電車乗らんといて、章ちゃん』


「…?なんでやねん、」


『好きな子が泣いてたら、泣き止ませたいって思うのが恋心ってもんやろ』


.

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ななな(プロフ) - 突然すみません、、、。やすくんと年下組シリーズ大好きなので、次の更新を楽しみにしています! (2018年1月6日 1時) (レス) id: c139195854 (このIDを非表示/違反報告)
おはなし - ヤンマーの江戸時代設定のやつの続編はどこかにのせていらっしゃいましたか?質問失礼します、 (2017年12月15日 0時) (レス) id: 01c8da2026 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新待ってました!とっても嬉しいです。さらに大好きな学パロ、ヤンマーと2つも一気に読ませていただいて幸せでした!またいつか読めることを楽しみに待ってますね。 (2017年9月6日 18時) (レス) id: 55300828f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もち苺。 | 作成日時:2017年9月5日 20時

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