やすくんと年下組 part11

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翌日。大阪でのロケ終わり、新幹線に乗った俺はぐったりしていた。


丸山さんお疲れですね、ってスタッフに言われてもうたわ。あかん、顔に出て来てもうてる。身体もだるいし。



一人落ち込んだ気分になって、何気なくスマホのボタンを押した。


途端に頰が緩む。章ちゃんから連絡来てるやん。



『マル、昨日眠れた？最近ほんま大変やなあ』

「あはは、大丈夫やで！おっさん頑張ってんでー」


嘘。窓に映る自分は疲れた顔をして、老けたようにも見えるのに。

だけど章ちゃんを安心させたかった。感受性の強い彼は、人の辛さを自分に移してまうことがあるから。



…本音？本音は、、



今すぐにでも抱きしめて、それか膝枕とかしてもらって、撫でてもらったりちゅーしたりしたい。思い切りその手に甘えたい…


でも俺もええ大人やから。大事な章ちゃんやって忙しいのに、会いたい会いたい騒いだりしない。




「今日は夕焼け綺麗やったなあ。章ちゃんもいろいろ疲れてるやろ？最近夜ふかしとかしてへん？」


「うん。極力寝てるで！」



何気ない会話が続く画面。


舞台稽古で忙しい章ちゃんと、プライベートで会えない日が始まってもう1カ月。もちろん恋人らしいキスもハグもずっとお預け。グループの仕事では会えるけど、「メンバーとしての」関わりしか出来ていない。


こうして顔を合わせるたび、恋人としての「会いたい」がむくむくと膨らんで胸をえぐる。



俺、あかんなあ。章ちゃん不足やとメンタルがぐらぐらになるってことが、この多忙期に入って痛いほどわかってしまった。


でもあと少し我慢すればきっと、一晩くらい会える日が来る。一晩くらい、章ちゃんの温もりを胸に眠ることができるはず。だから…頑張らな。




そうやって、くせになってきた「自分への言い聞かせ」をまた繰り返していた。


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