やすくんと年下組 part11

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錦戸side


今まで、ちょっと油断してたかもしれへん。

章ちゃんの曲の魅力を1番わかってるのは俺や、って。せやから、他の聴衆をライバル視したことがなかった。


…あの男は純粋に歌に惚れただけかもしれんけど、気は抜けない。章ちゃん可愛いから、いつ本気で奪いに来られるかわかったもんやない。


そう思ったら焦ってもうて、恥ずかしいことを言いかけた。あいつと俺のどっちがええかなんて、聞かれても困るよな。


でもなんか、章ちゃんニヤニヤしてるし、やっぱ嬉しかったんやな…ファンが出来たのが。その笑顔にさみしくなって、無意識にその柔らかい髪を撫でていた。


「…ね、章ちゃん」

「んー？」

「ちょっとさ、散歩しに行かへん？」


時刻はまだ8時。ちょこっと夜のデートをしても、遅くならへんうちに帰せるし。


俺もいつまでものろのろしてたらあかん。章ちゃんを奪われるまえに、もっと距離を縮めんと。


「行く！錦戸さんとどっか行くって、初めてやなぁ」

「せやな。この前1人でふらついてたら、夜桜がむちゃ綺麗なとこ見つけたんよ。最近そうゆう、夜景とかにハマってて」

「ほんま！…あ、じゃあアイコンのイルミネーションも…」

「ああ、あれも1人で見に行った…けど今度は章ちゃんと綺麗なもんみたくて」

そう言うと、嬉しい！って顔を明るくする章ちゃん。

ああ、可愛い、大好きや。俺の恋人になってくれたら、いろんな絶景を一緒に…なんてことは、言えないチキンな俺やけど。


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