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「先輩っ…!?な、何、何、」
近づくのもしんどいって思ってたのに、いざこんなことされたらかあっと身体が熱を持つ。
「あほ、安田のあほ。泣かんでええねん。
あんなあ、あれは彼女なんかちゃうわ」
「…!?で、でも、お弁当!頭ぽんぽんって!」
「証拠見したろか」
混乱する僕に錦戸先輩が見せてきたのは、男2人と、今より幼い錦戸先輩と、さっきの女の子が写ったプリクラ。
ラクガキは…
「錦戸…4兄妹…」
「これ、うちから持ってきてくれた弁当。おかんが長期旅行中やから、妹が作ってくれたらしいねん」
僕は、漫画のようにポカンと口を開けた。
涙が引いた僕を見て、泣かせるとは思わんかった…と呟いた先輩は、
ぎゅっと僕を抱きしめた。
「な、、に、にしき、、ど先輩っ」
「安田。まだ俺とさよならしたい?」
耳元でささやかれた甘い声にきゅうっと全身が縮こまる感じがした。
ぶるぶる首を横に降る僕の頭を、ぽんぽんと撫でて先輩は言う。
「鈍感やなあ…一目惚れやってんで、俺は」
「ひとめ…え?」
「や、正確にはちゃうか。ギターの記事見てな、こいつと友達なりたいってずっと思ってて。でも誰も安田のこと知らんくて。
中庭で初めておまえが安田ってわかったときな、
死ぬほどドキドキしてたんやで?」
こんなに可愛い、ええ子やとは思ってなかったから。
その言葉でやっと、僕は理解した。
「錦戸先輩は意外と優しい、って書いてたな。別に普段から冷たくはないけど…おまえに特別優しいねん、俺は」
離れた身体、彼を見上げると、ニヤリと美しい顔で笑う。
「安田、好きやで。返事は?」
「…っ、僕も、先輩のこと…好きみたいです…」
だって、こんなに人にドキドキしたの初めてやもん。
「みたい、って嫌や。確かめさせたる」
「ん…ぅう、は、」
不意打ちの口づけに、僕はただただ赤くなるばかりやった。
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るーしー(プロフ) - ガムトポすごく萌えました😭最後の鈍感トッポが、可愛くて可愛くて可愛すぎます。。ピンチに駆けつけるガムもかっこよくて、最高でした😭素敵な小説をありがとうございます! (2023年3月23日 2時) (レス) @page10 id: f4098d03e8 (このIDを非表示/違反報告)
もち苺。(プロフ) - あかかめさん» ありがとうございます!私もヒロイン感あるしょうちゃんが好きです笑 この先もゆっくりではありますが頑張るのでよろしくお願いします!! (2017年9月5日 20時) (レス) id: e64daadfce (このIDを非表示/違反報告)
あかかめ - 今更ですが全シリーズ読ませて頂ました…!章ちゃん受け+受けが危ない感じになって助ける的なお話が大好きなので生き甲斐になってますwお忙しいでしょうが無理せず頑張って下さい!長文、乱文失礼しました。 (2017年8月8日 20時) (レス) id: dd37e16602 (このIDを非表示/違反報告)
もち苺。(プロフ) - とまころろさん» いつもありがとうございます!これからもなかなか書けない期間があると思いますが、たまーにでも覗きにきていただけたらと思います。これからもよろしくお願いします! (2017年7月13日 23時) (レス) id: 9309636f94 (このIDを非表示/違反報告)
もち苺。(プロフ) - 青菜はやとさん» いつもありがとうございます。切甘は難しいです!笑 でも可愛いヤスくんは全作品に欠かさず書いていきたいです笑 (2017年7月13日 23時) (レス) id: 9309636f94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もち苺。 | 作成日時:2017年3月23日 22時