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出勤前(Jesse) ページ1






スーパーが開いてない時間に帰る日常が嫌になる時が来る。毎月、ぜったい。そんな会社に入ったのは自分で。別にコンビニで事足りるならそれでいい。そうやって日々を過ごしていても、耐えきれなくなる時が来てしまう。







「Aちゃん?もうすぐお仕事行く時間じゃない?」

いつまでも動こうとしない私に心配そうに声をかけてくれる。優しくて大好きな彼氏。ただ、それでももやもやは消えてくれない。

「もーやだ。仕事行かない。怪獣来て潰されないかなー?」

朝から物騒なことを言っている自覚はある。困り顔の彼氏を見ていると余計にそう思う。

「なーに言ってるの。具合悪い?」

「んーん。なんか疲れたから、行けなくなる理由ないかなって」

「それで怪獣?もー。可愛い」

「可愛い、とか今求めてないよ。行きたくない、行きたくない。熱出したい」

「熱出たらAちゃんが辛いでしょ。今日行ったらお休みだよ?頑張れない?」

「頑張れない。ジェシー怪獣になって会社つぶしてきて」

「あと何mあったらいけるかなー。叶えてあげたいけどねー」

もうあと10分ほどで家を出なきゃ行けない。それでも体が動いてくれない。私がいなくても、仕事なんてまわるよ。

机に体を預けている私の頭を優しく撫でている彼だって。あともう少しで家を出なければ行けないはずなのに。


「そんなになるまで頑張ってんの?いー子だね、ほんと。いー子」

「……いい子じゃない」

「なんで?いい子だよ。ほら、昨日だって遅くまでお仕事してたんでしょ?Aちゃんはたくさん頑張ってるよ」

「……じぇす」

「はあい」

「チャージさせて」

「どーぞ」

大きな手を広げて嬉しそうに手招き。大きい胸にしまい込まれる時が私はたまらなく好きだ。ジェシーの匂いでいっぱいで、もうここから動きたくない。

「……会社行かない」

「じゃあずっとこうしてよっか」

「じぇすが困るでしょ」

「困らないよ。大好きな彼女が苦しいのにほっといて行けると思う?」

「……じぇすが怒られるのはやだ」

「怒られないって。それにAちゃんより大切なもの、俺ないし。」

「んー…もう5分、うそ。10分」

「だめだよ。今日はお休みしてずーっとこうしてるんでしょ?」

「……行くもん」

「だめー」



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作者名:まめこ | 作成日時:2022年9月17日 0時

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