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呪われた女を呪われたまま愛し、自由な子どもを呪わない。愛する女を縛りつけるために、子どもの自由を奪わない。……女のしがらみを、独占するために、自分だけのものにするために。
トントンがグルッペンを我がものにするということは、グルッペンを家のしがらみに縛りつけるということとほとんど同義だ。大先生はそれを望まない。トントンも、それを望んだわけではない。彼にとってなにが最善であるのか、そんなこと、とうにわかっている。
だからこそ、憎まずにいられないのだ。彼を自由にした世界を、……自分を。
＊
『待てよ！』
うしろ姿に向かって叫んでも、グルッペンは足を止めない。そろそろ限界が近いが、俺より全力で走っているに違いないグルッペンがどうして倒れこまないのか、不思議でしょうがなかった。気力だけで保っているとでもいうのだろうか。
『おい！ あいつって誰なんだ！』
「うるさい！」
『……あいつとなに話してたんだ！？ トントンと！』
俺がそう叫ぶと、グルッペンは走っていた足を止めて、あたりの木に寄りかかった。気づけば、屋敷のすぐそばに広がっている森の入り口だ。さすがに体力の限界なのか、そのまま一分ほど、グルッペンは木にもたれかかって浅い呼吸をくりかえしていた。
「……お前の話だ。トントンが、あいつと何故そんな一緒にいるんだといって」
『俺の話をしてたんだな？ じゃああいつってのは俺だろう』
「……違う」
『俺の話をしてたんじゃないのか？』
「だからって、どうしてすぐお前ってことになるんだ」
『……本当に違うのか？ お前が好きなのは、俺じゃないのかよ』
グルッペンの否があまりに頑固なので、確信が揺らいできて、俺はうつむきながらそうたずねる。声もずいぶん弱々しかったはずだ。グルッペンが俺をみて、木にもたれていた上半身を起こす。俺のことを、しばらくながめている気配がした。
「……俺を弾劾するのか」
『……は？』
「気色の悪い男だと。男なんかを好きになって」
『んなわけ……』
そんなわけはないと思って顔をふりあげると、不安そうに両目を伏せたグルッペンの顔があった。色素の薄いまつげが、内側の感情をあらわすようにふるふると揺れている。……ざあ、と強い風が吹いた。梢を揺らし、葉擦れの音がする。そうだ。大先生は雨が降るといっていた。この風は雨の先遣なのだ。
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暁 - こんにちは！好みドストライクの小説に死にました笑笑 よろしければ、番外編など書いていただけると、今後の楽しみになります← (2019年6月26日 17時) (
レス) id: 49acb176a2 (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - カロさん» リクエストありがとうございます！無事書けましたのでお知らせいたします。夢主気に入っていただけたみたいでうれしいです；！書いててすごく楽しいのでありがたいリクエストでした！読んでくださってありがとうございました！ (2019年6月22日 8時) (レス) id: 5ef018c5f9 (このIDを非表示/違反報告)
カロ(プロフ) - すみません！リクエストで夢主くんとグルさんのイチャイチャが見たいです！お願いします！ (2019年6月21日 18時) (レス) id: d6860b933c (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - bhさん» わーいありがとうございます；；ほんと私の好きなもの無造作につめこんだだけの作品にそういっていただけでうれしいです！完結したのでお楽しみいただければいいな…と思います！ありがとうございます！ (2019年6月20日 21時) (レス) id: cfc1eef8b5 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです…ド性癖です…応援しております… (2019年6月19日 15時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年6月18日 0時
