悪魔の囁き･･･side Kazu ページ30
トントン
ガラッ
早起きして買いに行ってきた
焼きたてのクロワッサンを持って
Aちゃんの病室を訪れるのが
俺の日課になっていた。
和也｢Aちゃん、おは･･･｣
いつものように病室のドアを勢いよく開いて
目の当たりにした光景に驚いた。
ベッドで眠るAちゃんの枕元で
椅子に腰掛けた翔さんが顔を寄せ合い
寝ていたからだ。
そのまま出て行こうと思い、振り返ったとき、、
翔｢ニ、ノ･･･？｣
背中越しから掠れた声の翔さんに呼ばれた。
和也｢あ･･･おはよう｣
翔｢･･･今、何時？｣
和也｢7時｣
翔｢やっべ、マネージャー来る時間過ぎてるし｣
慌てて携帯を開く翔さんは
画面に並ぶマネージャーからの着信を見て、、
翔｢マジでヤバい･･･｣
和也｢マンションまで送る？｣
翔｢いや、こっちに来てもらうよ｣
A｢んんっ･･･しょ、ちゃ｣
翔｢A？ 俺仕事行くな｣
A｢ん･･･い･･･てらしゃ｣
翔｢また来るから｣
A｢わか･･･た｣
翔さんの手に頬を撫でられたAちゃんは
嬉しそうに微笑んだ。
翔｢･･･ニノ、いつも来てるのか？｣
俺の様子を伺うように聞いてきたから、、
和也｢ええ、毎日の日課ですよ｣
少しドヤ顔で言ってやったんだ。
翔｢･･･そっか、ありがとな｣
そう言うと、急いで病室を出ていった。
和也｢別に･･･｣
翔さんからありがとうなんて
言われる筋合いねえし･･･
なんだかおもしろくなかった。
ベッド脇の椅子にドカッと腰を下ろして
Aちゃんを見る。
和也｢また寝てるし･･･｣
最近のAちゃんは朝が遅い。
夜眠れないからと薬を飲んでいるのは知っていた。
せっかく焼きたてのパンを買ってきても
食べる頃には冷めきっている。
俺だって仕事があるから長くはいられないのにさ。
和也｢おい、起きろ｣
おでこを突いてみたけど起きる気配がしない。
和也｢起きないとキスするぞ？｣
枕元に顔を近づけたら
Aちゃんの寝息が聞こえてきた。
和也｢･･･お、き、ろ｣
A｢ん･･･｣
寝返りをしたAちゃんの顔が
目の前数センチにある。
和也｢･････//｣
いまここにはAちゃんと俺しかいない。
ふたりきりだよ？
チャンスじゃん？
カズいけー！！
もうひとりの俺が囁いた。
･･･････････････Chu☆
ガラッ
ユウ｢･･･カズさん？何やってんですか？｣
和也｢わ、わ、わ、わぁ〜｣
思わず椅子から転げ落ちた。
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作者名：きらら | 作成日時：2016年12月27日 21時
