帰っておいで･･･side Kazu ページ1
｢おはよう｣
｢･･･はょ｣
｢起きた？｣
｢ん･･･ぉきた｣
｢コーヒー飲む？｣
｢ん･･･飲む｣
今日もそんな朝をAちゃんと迎える。
｢え･･･あれ？ ねぇなんで？和ちゃーん！？｣
ドアの向こうで叫んでるし(笑)
パタパタと可愛い足音をさせながら
こちらに向かって走ってきた。
A｢和ちゃん、和ちゃん！｣
和也｢はいはい、何ですか？｣
A｢ねえ、なんでベッドなの？｣
和也｢なんでって？｣
A｢ソファーでいいって言ったでしょ｣
和也｢寝相悪くていつも下に落ちてるんだから｣
A｢何言ってんの？寝相悪くないもん｣
和也｢自分からベッド行くって言ったんだよ？｣
A｢そ、そんなこと言ってないもん｣
和也｢そうだっけ？｣
A｢今日は私がソファーだからね！｣
和也｢はいはい、わかりました(笑)｣
だって、またピアノの前で寝てたからさ。
Aちゃんはソファーではなく、
ベッドに寝かされたことに文句を言っている。
今日もそんな朝をAちゃんと迎えた。
あの日･･･
翔さんとあんなことがあって
俺はAちゃんをここに連れてきた。
もう、ここには来るなとAちゃんから
鍵を取り上げたくせに･･･
とてもひとりにはできなかったから。
A｢んー、おいし･･･^ ^｣
和也｢ごはんは？パン焼く？｣
A｢んん、いらない｣
和也｢ちゃんと食べてるの？｣
A｢ん、食べてるよ｣
顔色よくないし、なんだか痩せた気がするよ。
ふたりで作った曲が
全国ネットで放送されて以来･･･
和也｢曲はできたの？｣
A｢うん、あとふたつ仕上げなきゃ｣
楽曲の以来も増えたみたいで
ここにいるときはほとんどの時間を
ピアノの前で過ごしていた。
和也｢今日は俺が先に現場入りしてるからね｣
A｢うん、ユウくんから聞いてる｣
どんな手回しをしたのか
いまではユウがAちゃんの身の回りの
世話をしている。
この忙しいスケジュールの中でも
セリフを完璧に入れて現場入りするんだから
頑張ってるけどかなり無理してるよな。
いまのAちゃんは何かから逃げているみたいに
自分で自分を追い込んでいるのがわかる。
なおさら放っておけなくてさ。
それにAちゃんが不安げに聞くんだ。
A｢和ちゃん･･今日もここに来てい？｣
和也｢鍵渡したでしょ？｣
A｢･･うん｣
和也｢今日もここに帰っておいで^ ^｣
俺たちはいまピアノの部屋で暮らしている。
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作者名：きらら | 作成日時：2016年12月27日 21時
