＊ ページ11
私がこんなに悩んでるのに知らん顔してスマホいじってるジョンイナ。
「ねぇスマホいじってないでよ。」
「あ、洗濯し終わったみたいだぞ。」
「ちょっと話し逸らさないで！」
そうは言いつつも
私も洗濯を取りに来たから洗面台の方へ向かう。
何気にジョンインも手伝ってくれてるし。
こういう所が昔から優しいんだよね。
今じゃ男らしくなって力持ちだし。
「じゃあAはどうしたいの？」
話を逸らしたかと思ったら
突然話し出したジョンイン。
「騒がれずに平穏無事な生活を送りたい。」
「なら簡単じゃん。」
「何か案があるの？」
「事実にすればいい。｣
「…は？」
思いがけない言葉に動きが止まる。
「俺とAが付き合えばいい。
そしたら噂なんて少ししたら落ち着くだろ。」
「…いやどこからそうなるの。」
「どこからって平穏無事な生活を送りたいから、だろ。」
「それでジョンインは…付き合えるわけ？私と？」
「うん。」
…何それ。
そんな同情じみた感情で私と付き合うなんて…ジョンインはどうかしてる。
それに私だって嫌だ。
ジョンインに変に気を遣われてるとか息が詰まるもん。
「やだよ。私が嫌。」
「何で？」
「そんなんでジョンイナと付き合うなんて嫌。」
「じゃあその理由じゃなければいいの？」
「え、」
確かに、今、私は何を言ったんだろう。
"そんなん"じゃなければジョンインと付き合ってもいいってこと？
いや、微かに"付き合いたい"っていう願望をも感じ得るこの感情は何？
…なんてわからないほど私もバカじゃない。
「好きだから。Aが。」
「……」
「これでも納得いかないの？」
「……」
「なぁ、なぁって。聞いてる？」
聞いてるけど…
今までそんな素振り見たことなかったじゃん。
「…本当に？」
「本当に。」
「いつから？」
「昔っから。
なぁもういいだろ？」
「…？」
「付き合おう。俺たち。」
ジョンインは昔から感情表現がストレートで嫌なこともあったけど、
こんな気持ちにさせることも出来たとは。
「…いい作戦かも。」
「その言い方じゃ納得いかない。」
「好きだから。ジョンインが。」
ジョンインはにやっと口角をあげて笑った。
ににの時から変わらない笑顔で。
End.
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作者名：S
| 作成日時：2017年10月29日 17時
