叶わなかった想い＊基山ヒロト(24) ページ30
叶わなかった想いは残る。
そう言ったのは誰だったか。
ずっとAちゃんのことが好きだったのに、あの頃の俺はそれを口にできなかった。
エイリア時代、彼女は道を踏み外した俺を何度も引き戻そうとしてくれたのに、それに応えられなかった。
そのことが後ろめたくて、その後もなんとなく距離をとってしまっていた。
彼女が大学進学を機にお日さま園を出るときも、何も言えなかった。
「おーヒロト！遅かったじゃないか！」
今日はイナズマジャパンの同窓会。
遅れて店に入ると、円堂くんが真っ先に俺に気付いた。
「ごめん、仕事が立て込んでて。」
言いながら席を見渡すと、懐かしい顔ぶれの中にAちゃんを見つけた。
目が合った瞬間、大げさと言われるかもしれないけど、稲妻が走るような衝撃を受けた。
最後に会った時はいつだったか忘れたけど、目の前の彼女はすっかり大人の女性になっていた。
ちょうど空いていた彼女の隣に座ると、あの頃と変わらない笑顔を見せてくれた。
「なんだか、ヒロトと会うのすっごい久しぶり。」
「そうだね。」
俺はあの頃、間違いなく彼女に恋をしていた。
でも、胸が苦しくなるようなこの感覚で気付いた。
それは過去形なんかじゃないって。
今でも変わらず、Aちゃんのことが好きなんだって。
叶わなかった想いは残る。
だとしたら、俺はいつまでこの想いを抱えるんだ？
そう思ったのは、俺が成長したからだろうか。
今日こそ、決着をつけてしまおうか。
テーブルの下、他のみんなには見えない位置で、彼女の手にそっと触れた。
彼女は驚いたように肩をビクッと震わせ、こちらを見た。
「ねえ、今日この後時間ある？」
彼女にしか聞こえないくらいの声で囁いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 90人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
吉良 彩愛(ｱﾔﾒ) - シチュエーションは買い物デートでお願いします！ (2019年11月19日 1時) (
レス) id: 1fa478ff79 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーすけ(プロフ) - 吉良 彩愛(ｱﾔﾒ)さん» 返信が遅れてすみません。リクエストありがとうございます！詳細なシチュエーションなどの指定があれば助かります！ (2019年11月17日 16時) (レス) id: d12c541ec5 (このIDを非表示/違反報告)
吉良 彩愛(ｱﾔﾒ) - リクエストいいでしょうか？リクエストで、リ・ハオ君でお願いします！ (2019年11月13日 22時) (レス) id: 1fa478ff79 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーすけ(プロフ) - ふうふうさん» リクエストありがとうございます。時間がかかってしまいますが、必ず書きます。 (2019年10月21日 21時) (レス) id: d12c541ec5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーすけ(プロフ) - 美紅さん» すみません。諸事情により原作を見返すことができない状況になってしまったので、リク頂いた話は書けそうにないです。申し訳ないです。 (2019年10月21日 15時) (レス) id: d12c541ec5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴーすけ | 作成日時：2019年9月22日 2時
