緑の朽葉が笑うとき (ページ24)

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『？はい。先程お電話下さった方は加賀美インダストリアル代表取締役加賀美隼人様ですから』

「先輩社長さんと面識あったんですか？」

『いいえ、加賀美様ご本人とは面識はありませんよ。ただ、加賀美様の秘書の方と昔交流がありまして。言ってませんでしたっけ？』

「聞いてないです」

おや、説明した気でいました。いけませんね。最近は物忘れが加速している気がします。別に詳しく教える必要はありませんが軽く話しておくべきでしたかね？

『そんなに面白い話ではありませんよ。以前お酒の席で助けていただいたんです。その時に連絡先を交換しておりまして。まさかこんな形で役立つとは思わなかったですけど』

「あぁーそういう」

『えぇ、大した繋がりではありませんよ。さて、それよりもこの部屋を清掃しなければ。確かこの後予定が入っていたはずです』

「やばっ！どっちか予定表確認してきてよ！あとついでに雑巾追加で取ってきて」

「はいはーい俺行ってくる！ねこは食器ね！」

「……これは食器じゃなくて茶器だ！」

えーと、僕はどうしましょうか？

見る間に片付いていく応接間を見ながら1人その場に立ちつくす。どうやら若干誤魔化した事は一切バレていないらしい。みな素直で気立ての良い人間だ。ちょこまかと働く彼らを後目に新留は傷一つ着いていない頬を静かに拭った。