深夜の教室 ページ10
教室。ホームルーム
よくある、学校の風景
そこで私は、欠伸を漏らしながら頬杖をついていた
一年九組の、前から二番目の廊下側の席
今は初めてのホームルームの時間
担任の女が、これから行われる入学式について話している
ちなみに唯と俊はこのクラスにはいない
唯は一組、俊は二組、とかなり離れたクラスに配されていた
これは私が学校側に前もって話を通していたからだ
学校くらいは自由にさせてもらいたい
そこで私は視線だけを動かす
このクラスの人数は四十人
男女比は半々だった
クラス名簿によると、
十条家
五士家
三宮家
といった呪術界でも有名な名家の子供たちが多数所属している
先ほど出会った一瀬君も同じクラスだった
彼も一応は名家の出身だ
階級はもっとも低いが
女教師が言う
「さて、みなさんは今日からこの、第一渋谷高校の一員なわけですが、日本でも最高峰である呪術学校の生徒としての誇りと、自信を持って、実りある学園生活を送れることを願っています」
それから教師が楽しげに言った
「まあ、若干一名、人ではないネズミが混ざり込んではいますが、そのへんは気にせずに。このクラスの生徒たちは実力も成績も最高位のエリートとして、ネズミにこの学校の威信を見せつける仕事をこなしていただければと思っております」
ネズミというのは、一瀬君のことだ
生徒たちが笑う
全員ではないが、楽しそうに笑う
そしてそれに彼も、へらへらと笑っていた
その判断は正しい
『帝ノ鬼』に反抗するならば、今は侮られていたほうがいい
限界まで馬鹿にされていたほうがいい
彼らに実力をバラす必要は、やはりないのだから
ちなみに、このクラスには彼とは違う意味で『特別』な人間がいる
柊深夜
柊の名字を持つ、柊家の人間
朝、私たちに攻撃を仕掛けてきた青年だ
『帝ノ鬼』に所属する者にとって、柊の名前は特別な、それこそ神の代理者と呼んでもいいほどに高貴な名前
だが、今はその席は空いていた
私の目の前の席
つまり教室の一番前、入り口の近くだ
そこで、女教師が言う
「もうみなさんお気づきの通り、このクラスにはあの、深夜様がお通いになります。その身に余る光栄を……」
と、延々と話は続いていく
つまりそれほど素晴らしいお方というわけだ
それを生徒たちは、夢を見るような顔で聞いている
……馬鹿らしい
わかりやすい態度の変化に、私は静かに笑う
そしてまた、欠伸を一つ漏らす
するとそこで、扉の開く音が聞こえた
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もちもち - 依鶴さん» コメントありがとうございます！ご期待に添えれるかはわかりませんが、頑張ります！ (2017年2月25日 18時) (
レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
依鶴 - プロローグから惹き込まれました！とても楽しみにしてます！ (2017年2月24日 16時) (レス) id: b2da2b82b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2017年2月22日 14時
