悪夢と疑問 ページ4
「……A様‼」
誰かの煩い声で、私は目を覚ました
瞬間、視界に一人の少女が映し出される
鮮やかな橙色の髪に、爛々と輝く緑色の瞳
随分と顔立ちの整った少女
だが、彼女は怒っているようで、目を釣り上がらせている
「おはよー、唯。可愛いお顔が台無しだよー?」
彼女の名は睦月唯
幼少期の頃から私に仕える従者だ
彼女は、私の言葉を聞き更に目を釣り上がらせる
「なに、呑気にしてるんですか。早く起きてください、今日は入学式ですよ?初日から遅刻だなんて、名家『暁家』に泥を塗る気ですか⁉」
朝からお説教が始まった
昨日もそのお説教を聞いた気がする
「A様は『暁家』の当主なのですから、自覚を持って……」
「ああ、はいはい。着替えるから部屋から出てよ」
「ちゃんと私の話を聞いてください‼」
「君こそ、主の命令はきちんと聞くものだよ?」
すると唯は言葉を詰まらせた
ひどく不満そうな表情を浮かべたが、主の命令を無視することもできないのだろう
私の言う通り、直ぐに部屋を出た
……ああ、やっと煩いのが消えた
私はベットから出て制服を取り出す
《第一渋谷高校》の男子生徒服だ
私はその制服に袖を通す
ちなみに私は正真正銘の女である
なら何故、男子生徒服に身を包むのか
それは私が『暁家』の現当主だからである
こんな若造が名家の当主だと言われれば、大半の奴らが冗談だと笑い飛ばすが
これが冗談ではないのだ
前当主の父は私が十歳の時に他界した
母は私を産んで直ぐに死んでしまったため、顔さえ覚えていない
なので仕方なく、『暁家』の一人娘の私が跡を継いだわけだが……
「わざわざ男装する必要があるのかなぁ?」
鏡の前で、呟く
元々端正な顔立ちなため、男と言われても違和感はないだろう
だが、男装などして、意味はあるのだろうか
確かに、男の方が当主としてはやりやすいんだけど……
「日常生活が大変なんだよねぇ」
私は大きく溜息を吐く
そこで、また従者から声が掛かった
「A様‼まだですかー⁉」
「今行くー‼」
私は再度溜息を吐いてから、自室を後にした
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もちもち - 依鶴さん» コメントありがとうございます！ご期待に添えれるかはわかりませんが、頑張ります！ (2017年2月25日 18時) (
レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
依鶴 - プロローグから惹き込まれました！とても楽しみにしてます！ (2017年2月24日 16時) (レス) id: b2da2b82b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2017年2月22日 14時
