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『ま、待って!ステイ!落ち着け!』
「落ち着いとるわ」
自室のベッドに降ろされた私は右手をコネシマに拘束されて逃げられない。なんなら押し倒されてるし噛みつかれそうだ。なんて事だ畜生!
「で?どうなん」
『どう、とは』
「俺の事どう思っとるん」
『……』
アイスブルーの瞳は真っ直ぐ私を見つめている。気まずくて顔を逸らすが「逃げんなや」と大きな手が頬に触れ、逸らすことを許さなかった。
『なんでも、いいじゃん』
「良くない」
『何でさ』
「こっちも我慢するのそろそろ限界やねん」
『な…っ』
真剣な目に、いつもと違う冗談無しのコネシマ。
「なぁ、どうなん」
『…その、』
「迷惑なら言うてや。家政婦の契約すぐ切るから」
『迷惑なんてっ、そんなの思ってない!』
咄嗟にそう言えば「やっとちゃんとこっち見たな」と目を細められる。そんな笑顔でさえもじわじわ顔が熱くなるのを感じた。
「俺は好きなんや。Aの事」
『う…』
「好き。ホンマに、好き」
手の力がするりと抜けて、自由になった手で私は赤い顔を隠すしか出来なくて。
「んふふ。何恥ずかしがっとんねん」
『…恥ずかしいのは私なんだけど』
「言う方も恥ずかしいで?でもな、ちゃんと言わなアカンと思ったんや」
優しく見つめるコネシマに、逃げられそうにない私。
本気なんだ。私への、想いは。
『……』
「なぁ、Aはどう思っとるん?」
『私、は』
私が隣に居られたらどれだけ幸せか
想いを口に出来ていたら
苦しくて、辛くて、涙を流したか
そんな事を何度も思ったし、契約だけの関係だから言っちゃダメだと思ってた。
でも、いいの?
もう、隠さなくても
『わ、たし』
「おん」
『…コネシマと、一緒に、いたい…っ』
想いが溢れて止まらない。
コネシマと一緒に居たい。誰にも譲りたくない。
だって、こんなにも
私は__
『好き、だよ』
「…ッ」
コネシマに抱き締められながらベッドに倒れ込む。
胸に耳を当てればどくどくと激しいくらいに音を立てていて、顔を盗み見れば目に涙を貯めながら笑っていた。
「…そっか!そっかぁ…」
うれし涙だろうか。そんな彼につられるように私も涙ぐみ、腕を彼の背中に背中に回し抱き締め返した。
「両思いって事でええんよな?」
『うんっ』
私はコネシマと…これからもずっと、一緒に笑いあっていたい。
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暁 - ア"ッ...(絶命)好き!!!!!(蘇生) (9月6日 17時) (レス) @page30 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - ええっすねぇ…^^これからも頑張ってください!応援してます! (2023年4月17日 21時) (レス) @page27 id: 387a7b214e (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 続きがめっちゃめっちゃ気になる展開ですね...!!楽しみにしてます(*´∇`*) (2023年4月15日 22時) (レス) id: 790884ee82 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 匿名様へ。コメントはちゃんと読ませて頂きました、ありがとうございます。 (2023年2月5日 0時) (レス) id: 3a76da62a7 (このIDを非表示/違反報告)
心葉 - いい展開ですね(๑•ω•๑)/"♡おうえんしてます(*˘︶˘*).。.:*♡ (2023年2月2日 23時) (レス) @page25 id: 57de660b93 (このIDを非表示/違反報告)
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