･ ページ6
os side
「まずは髪整えような」
一度寝たからか少し落ち着いたAちゃんにそう言って長さがまばらな髪を整えていく。
白くて綺麗な髪やったのにな…可哀想に
『…ごめんなさい』
「Aちゃんが謝る事やないやろ？それに、結んだりせんでも可愛く出来るで」
『？』
ぽかんとするAちゃんの髪を整え終え、俺は部屋の机の引き出しら小さな袋を手に戻る。
それを彼女の前で屈み、そっと開けば涙で濡れていた目は途端にきらきらと輝き出した。
『…ちょうちょ！』
「そ。これな、カチューシャ言うねん」
ガラスの蝶々のモチーフがついた緑のカチューシャを手に取る。エーミールが以前、蝶の標本を見て綺麗だと言っていた話を耳にしたからな、好きかと思って買ってみたんや。
「これなら髪が短くとも着けれるで」
ほら、とカチューシャを生糸の様に綺麗な髪に差し込む。
太陽の陽を浴びて輝くそれと綺麗な髪は、とても美しく見えた。
「んーとっても可愛いめぅ」
『ほん、と？』
「ホンマやで。お姫様やぁ」
小さな手を包み「とっても可愛ええ」と優しく微笑む。そうすれば『うん、うんっ』と頬を赤く染めながら嬉しそうに笑ったAちゃん。
「折角やしひとらんにも見せに行こか」
『うん！』
ちっちゃな体を抱き上げてひとらんの元へと向かう。
こんな純粋な子、誰にもあげたくないなぁ…
※
「…なんて事もあったなぁ」
『今すぐ忘れて…恥ずかしい』
なんて昔話をしながら今日のお出かけの為に髪を整えてもらう。らんちゃんは「暇でしょ」と手と指のマッサージをしてくれていた。
「可愛かったって話やで？ええやん」
『小さい頃の話されても恥ずかしいの！』
「大丈夫だよ今でも可愛いから」
『らんちゃんまで…』
何を言っても「可愛い」と返されるので半ば諦めてため息をつく。
二人は私にかなり甘い。毎回ドキドキするこちらの身にもなってほしい。
『はぁ…勘違いしそうで怖いんだけど』
「別にええよ？」
『え』
するりと唇に指が滑り、薄い緑の瞳と目が合う。
「やってそのつもりやもん」
『え』
「…まぁここまで鈍感なのも考えものだけどね」
ひとらんはマッサージしていた手を止めて指先にキスを落とす。
『らんちゃん、マンちゃん…』
「忘れんでな？」
「俺ら、本気だから」
二人の真剣な眼差しを見て、思った。
愛されるのも中々大変なんだな、と。
---
次からリクエスト作品を執筆します。少々お待ちください。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 414人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
