31. ページ32
お花見前日の夜。ロボロに呼ばれた私は自室を出て隣の監視室へと向かう。
「あいよ、うさぎちゃん用のインカム」
『これが？』
ロボロから受けとったのはどこからどう見ても赤い石が着いたピアスだ。
「ここの部分をこう押してな____」
ロボロの教えを頭に入れる。このボタンがこうなって、あれがこうなって…成程。
「って事なん、よ…そ、そういう事や」
『？』
説明が終わると同時に目を逸らし顔をほんのり赤らめるロボロ。どうしたんだろう？と視線を辿れば私の服装が淡い桜色のネグリジェだった事に気が付いた。
そして私の悪い癖で悪戯心が芽生えてしまう。
『ローボーロっ！このネグリジェどう？似合う？』
「っえ゛？！ちょ、A？！」
キーボードを弄るロボロに後ろから抱き着く。ロボロってばトンちゃんとパパと同じ反応するから楽しくてつい意地悪しちゃうんだよね。
「はーいそこまで」
だけど後ろから笑顔のチーノに抱き止められ隣にやってきた大先生が私の頭を撫でる。
「Aちゃん最近お転婆過ぎひん？」
『気の所為じゃない？』
「気の所為な訳無いですやん」
怒られるのうさぎちゃんなんやで？と大先生は私の頬をそっと包んで目線を合わせる。
「こんな可愛ええ子に悪戯されたら大人は黙ってないで」
『えー？』
「やってさぁ…すべすべの肌に綺麗な瞳、やわっこい唇に甘い匂い…こんなん生殺しやで？」
ぐっと綺麗な顔が吐息が触れる距離まで近付く。
『大先生そうやって女の子口説くんだ？』
「キュンとしたやろ？」
『そうだけど…残念でした』
「あだぁっ？！」
ぺちん、とデコピンをおでこにお見舞する。大先生は赤くなった額を押え痛そうに顔を顰めた。
『私香水臭い人って嫌いなの』
「…大先生また遊んできたな？」
ロボロがジト目で睨みチーノが「僕と合流したの遊んだ帰りですからね」と苦笑する。
不機嫌を体現するかのように耳を揺らせばチーノが「まぁ今日はそろそろお開きで！」と私を横抱きにした。
『チーノ？』
「んじゃ、おやすみなさい！」
半ば早足でチーノが私の部屋へと駆け込む。扉を閉めた途端、肩に顔を埋めてぐりぐり押し付けた。
『ふふ、ありがとうね』
「…俺やって触りたかったんに、大先生ずるい…」
甘えるチーノの髪を撫でれば機嫌が戻ったのか顔を上げるチーノ。
仕方ないなぁ。
『緊張で寝れないの。一緒に寝てくれる？』
そう聞けば満面の笑みで頷いた彼に添い寝してもらい、私達は当日を迎えるのだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1519人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シルバー(プロフ) - 完結おめでとうございます(遅くなってごめんなさい)続編楽しみにしてます!! (2021年5月15日 2時) (
レス) id: fda507aca1 (このIDを非表示/違反報告)
Web版さん - あなたが噂の(前からお名前だけは知っていた)黒瀬さんですかぁ！最高ですありがとうございます！そして完結おめでとうございます！まじでスラスラ読めたし楽しかったです！タイトル回収が鮮やかすぎてもう「はぁ〜！」と読み終わった時に声が漏れました！応援してます！ (2021年5月12日 3時) (レス) id: 1323f7e7de (このIDを非表示/違反報告)
映画鑑賞(プロフ) - 完結おめでとうございます！毎日更新に楽しみにさせていただいていました！続編もとても気になります！ (2021年5月11日 19時) (レス) id: 70cbc4d72c (このIDを非表示/違反報告)
カンナフューラー・スカーレット(プロフ) - 完結おめでとうございます！続編とても気になります！これからも頑張ってください！ (2021年5月11日 19時) (レス) id: ac012606e8 (このIDを非表示/違反報告)
[ ] - 完結おめでとうございます。続編めっちゃ見たい (2021年5月11日 19時) (レス) id: 44a1044c1a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
