10.意地悪な豚さん ページ10
あれから数日後。
「Aーどうやった？」
『20点中10点…』
「どこ間違ったん？」
『ここ』
「あーそこはな…」
隣の席に座り分からなかったところの解き方を教わる。
あの日の宣言通りトントンが意地悪してくる事は無くなり、わかりやすく教えてくれるようになった。
「二人共仲良うなったなぁ」
「せやな。てかトントンめっちゃ顔ゆるっゆるやん」
教室の出入口で談笑していた鬱君とゾム君。二人は私達が仲直りした様子にとても嬉しそうに駆け寄ってきた。
「トンちめっちゃ嬉しそうやーん」
「うっさいわ」
「Aーいちごみるく飴買ったんやけどいる？」
『欲しい！』
鬱君に弄られてるトントンを無視してゾム君が差し出した飴を貰おうと手を広げる。
だけどそれが手に乗る前に大きな手に攫われ、そして飴は鬱君の口の中へと消えていった。
『あ！』
「ぶふぉっ？！」
「ゾムぅ…ハバネロキャンディーはアカンやろ」
見ろや、と辛さで悶絶している鬱君を指差す。ゴロゴロ転がり涙と鼻水まみれになっていた。汚い…
「粛清と書類三倍、好きな方選びや」
ニッコリ微笑んだトントンから逃げるようにゾム君は「あ、グルッぺンに呼ばれとるんやった」と脱兎の如く逃げ出した。
もう背中しか見えない。足早すぎない？
「ったく…あの悪ガキが」
『愛されてるねぇ』
顔を顰めているトントンにくすくす笑っていれば笑顔につられて微笑んだトントンに頭を撫でられる。
『んむ』
「そうやっていつも笑っててな」
『私が泣いてたのそもそもトントンの所為なんだけど』
「まぁええやん」
ジト目で見つめていればトントンは話を変えようと「そう言えば」と切り出した。
「結局俺の事好きかどうか聞きそびれたやんな」
『…別にいいじゃん』
「えーちゃんとAの口から聞きたいんやけど」
『そう簡単には言いませんー』
席に突っ伏して顔を隠す。
今更言える訳がないでしょ。恥ずかしい。
「えー…しゃーないなぁ」
「見て！生徒会長よ！」
「きゃー素敵！」
グルッぺンさんがいらっしゃったらしく辺りから黄色い声が上がる。視線は皆廊下へと向いていた。
「A」
そんな中トントンに名前を呼ばれた私は顔を上げる。
すると一瞬唇に柔らかな感触がして、気が付けばトントンの顔が近くにあって。
「…いつか絶対好きって言わせたるわ」
挑発的な笑みを浮かべ、彼はペロリと唇を舐めた。
『この…ッエ〇豚ぁ！』
結局今日も私は意地悪な豚さんに翻弄されるのであった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 668人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ろー - とっっても素敵でした！むねきゅんがとまりません！ (2021年9月9日 23時) (
レス) id: 5b1f2f213c (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - トントンの不器用な感じがグサッと刺さりました…！ (2021年4月21日 23時) (レス) id: cf6eb8063e (このIDを非表示/違反報告)
白ごま(プロフ) - すれ違いな勘違いな片思い……大好物です！書記長ドンマイ！って思いながら読んでました。完結おめでとうございます！ (2021年4月20日 7時) (レス) id: bba1a3ae28 (このIDを非表示/違反報告)
碧翔 - 会長ー！！あぁ…書記長頑張れー！fightﾝ(-ω☆)ｷﾗﾘ (2021年4月18日 21時) (レス) id: 6cb4d1b5e6 (このIDを非表示/違反報告)
私猫(プロフ) - すれ違いっていいですね…好きです (2021年4月18日 13時) (レス) id: a5b5a226ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
