09.俺の事、好き？ ページ9
いつもの意地悪な彼はどこへ行ったのやら。目の前の彼はぐすぐす鼻を鳴らしながら涙で濡れた目で私を見つめた。
昔泣き虫だった頃の彼と重なり、思わず小さな笑みが溢れる。
『…わかった、信じてあげる』
「ホンマに？！」
『うん。だから、嫌だって言う事はしないで欲しいな』
「わかったわ！」
嬉しそうにはにかむ彼に胸がキュンとしたのは言うまでもない。
この幼馴染は高身長でイケメンの部類に入る。破壊力は抜群である。
『とりあえず泣き止んでよ。私が泣かせたみたいじゃん』
少し背伸びをしてまだ涙で濡れている目元をそっと指で拭う。
「…」
『わぁっ？！』
すると彼は何を思ったのかその手を引いて再び腕の中に閉じ込めた。
『ちょ、トント「Aは？」は？』
「Aは俺の事、好き？」
先程とは違い耳元に直接そう囁かれる。
『はぁっ？！』
「やって俺しか言うてへんの不公平やん」
『いや知らんが？！』
唇を尖らせてそう言うトントンは子供の様に「言うてやぁー」とぎゅむぎゅむ私を抱き締めて急かす。
ちょ、苦しい…潰れる…っ
『わかった！わかったから！言うから力緩めて！潰れる！』
「確かにぶちゃいくな顔やな」
『誰がぶちゃいくだと？ん？』
なんてキレれば彼はへらへらと笑い、腕の力を緩め少しだけ体を離して顔を覗き込んだ。
「ほら、はよ」
『…〜ッ』
気恥しいのを堪え、ゆっくり口を開ける。
『…わ、私の為に変わろうとしてくれてたんだよね？』
「おん」
『…』
「頭ええから勉強教えられるし、身長も伸びたし体型もがっしりしたから守れるようになったで」
『うん』
「もう弱虫やないで」
自信満々にトントンはそう言った。
『もう意地悪しないんだよね？』
「誓うわ」
『…』
「…」
沈黙がおり、そして意志を口にしようとした、その時____
『…好k「遅くなってスマンな！いやぁ野暮用が長引いて…ん？どうしたんだ二人とも抱き合って」ぐ、グルッぺンさん…っ』
想いを告げようとすればバーン！と勢いよく扉が開かれ、そこに居たのは有名店のマカロンを手にしたグルッぺンさんの姿が。
タイミング悪すぎ！見てよトントンの顔！
般若だよ？！！
「…グルさん？」
「ﾅ､ﾅﾝﾃﾞｼｮｳｶ」
「明日から一ヶ月菓子禁止な？」
非情な宣告を告げられたグルッぺンさんはこの世の終わりのような顔をしていた。
「ゆ、許してクレメンス！！！」
「知るか！」
悲痛な叫びが上がると同時に授業終了を告げる鐘の音が響くのだった。
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ろー - とっっても素敵でした！むねきゅんがとまりません！ (2021年9月9日 23時) (
レス) id: 5b1f2f213c (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - トントンの不器用な感じがグサッと刺さりました…！ (2021年4月21日 23時) (レス) id: cf6eb8063e (このIDを非表示/違反報告)
白ごま(プロフ) - すれ違いな勘違いな片思い……大好物です！書記長ドンマイ！って思いながら読んでました。完結おめでとうございます！ (2021年4月20日 7時) (レス) id: bba1a3ae28 (このIDを非表示/違反報告)
碧翔 - 会長ー！！あぁ…書記長頑張れー！fightﾝ(-ω☆)ｷﾗﾘ (2021年4月18日 21時) (レス) id: 6cb4d1b5e6 (このIDを非表示/違反報告)
私猫(プロフ) - すれ違いっていいですね…好きです (2021年4月18日 13時) (レス) id: a5b5a226ba (このIDを非表示/違反報告)
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