06.離れていった存在 ページ6
tn side
「A「あれ、Aちゃんどこか行くん？」…」
『うん。今日から別のとこで食べるから』
ごめんね、と教室にやってきた大先生にそう謝って出ていくA。伸ばしていた手が彼女に届くことはなく、空中をかいては落ちた。
「…」
「まぁ…ドンマイやでトンち」
大先生にまで同情されるとは終わっとるな、俺。
※※
あの日以来Aは俺の事を避けるようになった。
声を掛けても無視され、教科書を忘れたと言って見せてもらおうとしても「鬱君かゾム君に借りてくれば？」と突き放され、昼飯はいつもどこかへと消えていってしまう。
仲直りしたくて美味そうな苺を買って持ってくるも彼女に渡せる機会が無く、結局いつも持って帰っては深いため息をついていた。
「ええ機会なんちゃう？子離れ的なさぁ」
「…俺が泣かせたんにそれで済ませられる訳ないやろ」
大先生は苦笑しながらそう言うが俺はやはり諦めきれない。
結局今日も渡すことが出来なかった苺の入った容器をカバンに仕舞い、俺は大先生とゾムを置いて先に教室に戻ろうとした。
だけどそこで偶然オスマンと遭遇したのだった。
「あれ、トントン？どしたん暗い顔して」
「…オスマンか」
付き合いの長いオスマンにまで見抜かれているとは相当酷い顔をしているらしい。眉間を指で揉んで居れば「あ、せや」と思い出したようにオスマンが俺にコーヒーの容器を手渡した。
「生徒会室のコーヒー切れかけとったから買うたんやけど、俺今先生に呼ばれてんねん。済まないんやけど代わりに置いてきてくれへん？」
「…ええで。やっとくわ」
オスマンにそう伝えれば謝られながら教員室の方へと消えていくオスマン。俺はそれを見送り生徒会室へと向かった。
「…明日にはちゃんと謝らんとなぁ」
そうやって何度覚悟を決め、結局声をかけられず撃沈した事か。
重苦しいため息をついて生徒会室前に辿り着き、そして扉に手を掛けた。直後。
「____という事があってな」
『そうなんですか？…ふふっ 変なの』
「…ッ」
扉に掛けていた手がピクリと跳ねる。
…グルッぺンと一緒におるん？
「その他にも…ん、食べかすがついてるぞ」
『…えっと…』
「…ここだ」
扉の隙間から部屋の中を覗き込む。
『…ありがとうございます』
そこには今まで見た事ないくらい優しい笑顔を浮かべたグルさんとAが居て____
「…ッ」
胸ギュッと締め付けられたような気がして。
気が付けば俺は部屋の扉を思い切り開いていた。
.
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ろー - とっっても素敵でした！むねきゅんがとまりません！ (2021年9月9日 23時) (
レス) id: 5b1f2f213c (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - トントンの不器用な感じがグサッと刺さりました…！ (2021年4月21日 23時) (レス) id: cf6eb8063e (このIDを非表示/違反報告)
白ごま(プロフ) - すれ違いな勘違いな片思い……大好物です！書記長ドンマイ！って思いながら読んでました。完結おめでとうございます！ (2021年4月20日 7時) (レス) id: bba1a3ae28 (このIDを非表示/違反報告)
碧翔 - 会長ー！！あぁ…書記長頑張れー！fightﾝ(-ω☆)ｷﾗﾘ (2021年4月18日 21時) (レス) id: 6cb4d1b5e6 (このIDを非表示/違反報告)
私猫(プロフ) - すれ違いっていいですね…好きです (2021年4月18日 13時) (レス) id: a5b5a226ba (このIDを非表示/違反報告)
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