03.小さい頃は ページ3
「初めまして、今日からお隣に越してきた者です〜」
出合いは小学校に上がる前。私の家の隣に越してきた際の顔合わせの挨拶だった。
トントンママの後ろに居てモジモジしていたトントンはずっと隠れていて、そんな彼に私の方から声をかけ手を差し出したのを覚えている。
『わたしAって言うの！よろしくねトントン君！』
「…お、おん」
ちっちゃかった手をキュッと握って握手したのを覚えている。
「な、なぁ、Aちゃん」
『うん？』
「ぼ、ぼくとお友達、なってくれへん？」
ゆっくりと、おどおどしながらも真っ直ぐ目を見つめてくる彼に当時の私は『もちろん！』と笑いかけたのを今でも覚えている。
それから学校生活が始まってからも私と彼はよく一緒で、気弱なトントンが虐められたりした時には助けにもいった。
「ごめ、んなっ ぼくが、泣き虫やからっ」
『トントン君は悪くない！わたしが守ってあげるからね！』
いつものように笑いかけて夕日が照らす道を手を繋いで歩いた。
彼はもう覚えて居ないだろうけど。
でもそんな日々が当たり前だった。
『…あ、テスト62点』
「Aちゃん、テストどうやった？」
『んー62！』
「そなんか…あ、あんな、見て！」
トントンの手には百点満点のテストが握られていた。
「えへへ…すごない？！」
『…う、うん！すごい、ね！』
いつもは私と同じくらいの点数だったのに。
※※
その日から彼は変わってしまった。
「Aー昨日のテレビ見た？あの場面が特におもろくて…」
呼び方も
「Aテストどうやった？俺は今回も満点やったで」
テストの点も
「今日大先生と遊ぶからA来ないでな」
____付き合いも
いつも一緒だった彼はすっかり変わってしまって。
しかもその上身長もあれば容姿も良いらしく、いつも彼と一緒の時は女生徒の視線を沢山感じた。
『小さい頃は一緒だったのにね』
そんな言葉を何度心の中で吐いては傷ついてきただろうか。
※※
でももうどうでも良かった。
だってトントンは私の悲しむ顔が見たいだけってわかったから。
だからもう、全てがどうでも良かった。
『トントンのばか…っ、痛っ』
涙で滲む視界の中曲がり角で誰かとぶつかってしまい後ろに吹き飛ぶ。
「廊下は走ったらダメだぞ」
『ご、ごめんな、さ…っ』
零れていた涙を拭うのを忘れて慌てて顔を上げる。
彼の胸元には生徒会のバッヂがつけられていて、金色の髪を見て顔が青ざめた。
この人、生徒会長様だ…
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ろー - とっっても素敵でした！むねきゅんがとまりません！ (2021年9月9日 23時) (
レス) id: 5b1f2f213c (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - トントンの不器用な感じがグサッと刺さりました…！ (2021年4月21日 23時) (レス) id: cf6eb8063e (このIDを非表示/違反報告)
白ごま(プロフ) - すれ違いな勘違いな片思い……大好物です！書記長ドンマイ！って思いながら読んでました。完結おめでとうございます！ (2021年4月20日 7時) (レス) id: bba1a3ae28 (このIDを非表示/違反報告)
碧翔 - 会長ー！！あぁ…書記長頑張れー！fightﾝ(-ω☆)ｷﾗﾘ (2021年4月18日 21時) (レス) id: 6cb4d1b5e6 (このIDを非表示/違反報告)
私猫(プロフ) - すれ違いっていいですね…好きです (2021年4月18日 13時) (レス) id: a5b5a226ba (このIDを非表示/違反報告)
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