黒瀬の短編置き場【d!】 (ページ15)

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夢よりも甘い幼馴染爛漫ページ15

※眠るのが好きな夢主×幼馴染爛漫

人間の三大欲。
それは睡眠、性、食だ。

お腹いっぱい食べるのは良い。
だけど私は元々少食だ。

性を晴らすのは良い。
んだろうけど相手もいなければそういう気持ちになったこともない。

残るは睡眠。睡眠は良い。
疲れも取れるし時間も潰せる。何より1人で行なう事が可能で私の場合すぐにでも寝ることが出来る。

何よりわたしは朝早くから出勤し、夜に帰るというルーティンを繰り返しているので心と体は常にボロボロなのである。

つまり私に適してる欲も、求める欲も、睡眠欲なのだ。

※※

『ただい、ま…』
「おかえりー」

玄関を開けて大きいソファーにスーツのまま倒れ込む。もう無理動けない歩きたくない。ぐでっともたれかかっていれば、晩御飯を作っていた幼馴染のひとらんが「スーツちゃんとハンガーにかけて」とエプロン姿で屈んで頭を撫でる。

幼馴染とルームシェアしてて正解だと心の底から思った。

『ママ…』
「俺Aのお母さんじゃねえから」

べし、と軽いチョップを喰らいながら渋々部屋に戻り、愛用のジャージに着替えてリビングに戻る。そのままソファーに乗りクッションを抱き締めれば、心地よい眠気が私を襲った。

「あ、コラまだ寝ちゃダメ」
『やだぁ…』
「はぁ…せめてご飯食べてから。体がもたないよ」
『やーだー…！』

クッションを取られひとらんはデコピンを額にお見舞いする。

なんで、なんで寝かせてくれないの。

『…ひとらんが、いじわるする…っ』

眠くて寝たいのに許してくれなくて。
ぐずり始めた私は涙をぽろぽろ零しながら額を抑えた。

『ひとら、のっ、ばかぁ…っ』
「泣くこと無いじゃん…！」

そうは言うもののひとらんは私の涙にめっぽう弱い。オロオロしながらどう泣き止ませようかと頭を撫でたり涙を拭う。

だけど私はそれだけじゃ泣き止まなくて、ひとらんが頭から手を離した瞬間後ろから引かれ、紅茶の匂いに包まれた。

「なーにA泣かせとんねんひとらん」
「いや、だって泣くなんて思ってなくて…」
「Aが家やと子供になるん忘れてるん？」
『ぐす…っお゛す゛ま゛ん…っ』
「よしよし。可哀想になぁ」

後ろから引き寄せて頭を優しく撫でる、同じく幼馴染のオスマン。彼に頭をぐりぐり押し付ければ、嬉しそうにはにかんで私を抱き締めた。

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