28.彼らは人間じゃない ページ30
首の痛みに顔をしかめて彼を離そうと胸を押す。が、ビクともしない上に抵抗する気配を読んだ彼は私の両手首を抑えてそのまま地面へと縫いつけた。手にしていた食器が床に落ちてガシャンと割れる。
『痛…っ』
雑面の隙間から一瞬覗いた桃色の瞳はギラついていて、ニヤリと笑って再度私の首筋に噛み付いて血を吸い上げた。じゅる、と啜る音が脳に響いて、嫌悪感から逃れようと首を振るが彼はお構い無しだ。
『やだ、ロボロ…っ痛いよ…っ』
「……はぁ…ッ、」
既に血を流している傷口を更に拡げるように牙をナイフのようにして切り開く。ドクドクと血が流れる感覚が怖くて目には涙が滲んだ。
『う、ァ…』
恐怖で声が出ない。助けを呼ぼうとするも口が震えて上手く言葉を作れない。小さな悲鳴が口の中で霞んで消えていく。
『ぁ、や…っ、』
「んふふ…甘いなぁ？Aの血…」
いつもそばに居たから私は忘れていたのだ。
彼らが人ではない、「化け物」だという事に。
やがてしばらく私の血を堪能し終えたロボロはペロリと口周りを舐めて私を見下ろす。恐怖で動けない私は恐ろしい彼を震えながら見上げることしか出来ない。
「…なぁ、A」
彼は私の頭の横に手をつく。
「俺だけを見て…見捨てんとって…頼む…」
表情は見えない彼の言葉。
でもその言葉は…震えていた。
『どういう…こと…』
私が問いかけようとしたその時。
扉が乱暴に開いてロボロを床に叩きつけたひとらん。そして床に倒れてる私に駆け寄ってきたトントン。そしてその後ろからグルッペンがゆっくり部屋に入ってきた。
「…やっぱりか」
「ロボロお前自分か何したかわかってんの？あﾞ？」
「ひとらん落ち着け。…Aはどうだ？トン氏」
今にも斬りかかりそうなひとらんを宥め冷静なグルッペンはトントンへ目をやる。
「首噛まれてるな。ざっくりやられとる」
「わかった。手当を頼む」
グルッペンはトントンに抱き抱えられた私の頬を優しく撫でる。
『グルッペ…』
「俺らの配慮が足りなくて怪我をさせてしまったな。…済まない」
悲しそうに顔を歪ませる彼に首を振る。彼が悪いわけじゃない、実行したのはロボロだ。それにロボロも悪気があってやった訳では無い…と、思いたい。
「とりあえず処置せな。その後少しだけ話させてや、A」
トントンの言葉に頷き、ひとらんとロボロを部屋に残して私たちはリビングへと向かった。
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遥(プロフ) - 当時はコメントをしておりませんでしたので今更となりますがコメント失礼致します。本作はとても素晴らしい作品で、多忙な毎日の楽しみにさせて頂いていました。本日は誠に勝手ながらそのお礼を伝えたいと思い馳せ参じた所存です。素晴らしい作品を有難う御座いました。 (2021年11月20日 21時) (
レス) id: 9095c0dec3 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。一年ほど前に初めてこの作品を拝見して以来、ずっとこの作品の虜となっておりました。以前このサイトの垢を消してしまったせいでこの作品をもう一度見つける事が出来なかったのですが、今日になって漸く探し出すことができました。 (2021年11月20日 21時) (レス) id: 9095c0dec3 (このIDを非表示/違反報告)
114514 - 心臓が死にかけに……………ぐはっ (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - ふぁこ。さん» ありがとうございます！ヽ(；▽；)ノ最近更新ペースが少し落ちてますが、頑張ります！ (2020年2月26日 13時) (レス) id: 46340c89d0 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ。(プロフ) - 設定と黒瀬さんの文章が好きで、いつもキュンキュンさせてもらってるんですが、突然の戦闘(？)シーンが好きすぎてドキドキしました笑。応援してます！頑張ってください (2020年2月25日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
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