27.雑面の彼 ページ29
予防接種を終えたみんなと私はカフェへと戻る。掃除を終えた兄さんは帰り支度を済ませ終えていて、皆のリードを外しながらソファーに腰かけた。
「どうだった？」
『ぐるっぺんとしゃおろんが暴れたけど、無事終えられたよ』
ね？と彼らの方を向けば目を逸らす2匹。とんとんとこねしまがニヤリと笑っていたが気付かないフリをしてぐるっぺんの頬を両手で掴んだ。
『よく頑張ったね』
「…きゅうん」
額同士をコツン、と合わせればぐるっぺんは前足を上げて膝に乗り上げる。頑張ったご褒美に抱き上げてあげれば、彼は幸せそうに顔を胸に埋めた。
すると足元でとんとんとしゃおろん、こねしまがキャンキャンワンワン吠えだした。
『皆順番にしてあげるから、ね？』
「ギャウンッ！ワンワン！」
未だに吠えるとんとんに困惑しながらひとらんらんに助けを求めれば、彼は首を振っていた。そうじゃないってこと…？
「こら、お前達やめろ。Aが困ってるだろ」
「(あぐっ)」
「しゃおろんお前何すんねん」
『兄さんとしゃおろんも落ち着いて！ステイ！』
兄さんの静止に逆らうように甘噛みしたしゃおろんと兄さんの間にゴングが鳴ったので慌てて仲裁に入る。何してんのアンタら！！
なんとか2人を宥め兄さんは帰宅、他のみんなは家へと連行させて事なきを得た。
※※
「…Aちゃんどこ行くん？」
『あ、鬱先生達』
リゾットを少し冷ましてからトレーに乗せて自室に向かってる所で丁度鬱先生、エーミール、ショッピ、コネシマと遭遇した。彼は煙草とジッポを手にしていたのでこれから外に吸いに出るのだろう。
『あまり遅くならないようにね』
「勿論！」
「Aさん何か食べたいものとかありますか？帰りに買ってきますよ」
『大丈夫。気を付けてね』
行ってくるわぁと笑って去っていく鬱先生を見送り部屋へと入る。そのベッドの上には猫の姿のまま動かないろぼろがいて、横のテーブルにトレーを置いて小さな体を撫でた。
『…ろぼろ…』
小さな体は目を開けて私を見る。それに少し安心した私はベッド横のテーブルに手を伸ばした。
『食欲ある？リゾット作ったんだけど…』
小さな器に取り分けて彼に差し出そうと準備をする。
が、その手は彼の腕によって掴まれ阻止された。
『…ろぼ、ろ？』
人型になった彼の顔は天と書かれた雑面により表情は見えない。
『ろぼろ、どうし___』
「…いただきます」
彼が顔を首に近付けた瞬間、私の首に鋭い痛みが走った。
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遥(プロフ) - 当時はコメントをしておりませんでしたので今更となりますがコメント失礼致します。本作はとても素晴らしい作品で、多忙な毎日の楽しみにさせて頂いていました。本日は誠に勝手ながらそのお礼を伝えたいと思い馳せ参じた所存です。素晴らしい作品を有難う御座いました。 (2021年11月20日 21時) (
レス) id: 9095c0dec3 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。一年ほど前に初めてこの作品を拝見して以来、ずっとこの作品の虜となっておりました。以前このサイトの垢を消してしまったせいでこの作品をもう一度見つける事が出来なかったのですが、今日になって漸く探し出すことができました。 (2021年11月20日 21時) (レス) id: 9095c0dec3 (このIDを非表示/違反報告)
114514 - 心臓が死にかけに……………ぐはっ (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - ふぁこ。さん» ありがとうございます！ヽ(；▽；)ノ最近更新ペースが少し落ちてますが、頑張ります！ (2020年2月26日 13時) (レス) id: 46340c89d0 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ。(プロフ) - 設定と黒瀬さんの文章が好きで、いつもキュンキュンさせてもらってるんですが、突然の戦闘(？)シーンが好きすぎてドキドキしました笑。応援してます！頑張ってください (2020年2月25日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
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