22.思い出とホットミルク ページ24
ひとらんにしばらく抱きしめられたまま背中を優しく叩かれ、やがて私が泣いてる事に気付いたオスマンも起きてきた。
「起きてもうたし、なんか飲も？」
オスマンの提案に他の皆を起こさないようにとこっそりカフェの方のキッチンへと向かう。そこで何かを作り始めるオスマンをぼんやり見ながら大きいソファーに腰掛ける。
「ほい。お待たせ」
数分してからオスマンがジャム入りのホットミルクを用意してくれたので有難く受け取り口をつける。じんわりと優しい味が口に広がった。
「俺猫舌やから飲めへんけど、味は確かやで」
『…ありがとう』
猫に姿を変えたオスマンが私の膝に座りこみ、その隣にひとらんが座る。
「…大丈夫？」
『うん。今は、ね』
ホットミルクを啜り息を吐く。
「…でも、正直少しだけ安心した」
『え？』
「だってA、あの日以来本心見せなくなったから」
マグカップを持ってた手がピクリと震える。それに気付いたオスマンが手に擦り寄ってぺろりと舐めた。
「…心配してたんだよ」
マグカップに落としていた視線を上げてひとらんを見る。
あの日以来。伯父が居なくなったあの日から。ずっと気にかけてくれていたのだろうか。
真っ直ぐな視線に、思わず視界が滲んだ。
『ご、め…』
「良いんだよ」
「それでAちゃんがまた笑えるなら沢山泣いてや」
テーブルの上に飛んだオスマンはぺろぺろとこぼれ落ちる涙を舐めとる。擽ったくて笑っていると大きい掌が私の頭を優しく撫でた。2人の優しさが、とても暖かい。
『ありがとう、2人共』
「めぅー」
「気にしないで」
2人の優しさに感謝しながら私は彼らとの会話に花を咲かせた。
※※
やがて再び睡魔に襲われる私を姫抱きにして部屋へと戻るひとらん。そしてそのままベッドに彼の腕に頭を乗せるように寝かされる。
『…ひとらん？』
「ふふっ 頼ってくれて嬉しいんだ」
嬉しそうに笑うひとらんにつられて私もはにかむ。
「(何やこれおもろないな)」
ぷぅ、と頬をふくらませ私の腕の間に潜り込む猫のオスマン。
「…オスマン」
「ええやんこれ位」
私の目の前でバチバチ火花が散るが気にせずオスマンを抱きしめてひとらんを見る。そうすれば彼の大きな手が私の背中を一定の感覚で優しく叩いてくれた。胸も、体も暖かくて頭がぼんやりしてきた。
「おやすみ」
そっと額にキスを落とされる。
小さい頃伯父が寝れない私にしてくれたおまじないが懐かしくて、私はまた涙を零した。
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遥(プロフ) - 当時はコメントをしておりませんでしたので今更となりますがコメント失礼致します。本作はとても素晴らしい作品で、多忙な毎日の楽しみにさせて頂いていました。本日は誠に勝手ながらそのお礼を伝えたいと思い馳せ参じた所存です。素晴らしい作品を有難う御座いました。 (2021年11月20日 21時) (
レス) id: 9095c0dec3 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。一年ほど前に初めてこの作品を拝見して以来、ずっとこの作品の虜となっておりました。以前このサイトの垢を消してしまったせいでこの作品をもう一度見つける事が出来なかったのですが、今日になって漸く探し出すことができました。 (2021年11月20日 21時) (レス) id: 9095c0dec3 (このIDを非表示/違反報告)
114514 - 心臓が死にかけに……………ぐはっ (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - ふぁこ。さん» ありがとうございます！ヽ(；▽；)ノ最近更新ペースが少し落ちてますが、頑張ります！ (2020年2月26日 13時) (レス) id: 46340c89d0 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ。(プロフ) - 設定と黒瀬さんの文章が好きで、いつもキュンキュンさせてもらってるんですが、突然の戦闘(？)シーンが好きすぎてドキドキしました笑。応援してます！頑張ってください (2020年2月25日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
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