21.優しい温もり ページ23
「さ、一緒に寝よか」
『その姿(人型)で？』
「勿論！1人じゃ寂しいやろ？だから、添い寝を「オスマン？」めぅ…」
ベッドに降ろされ、頬を染めるオスマンの肩を掴んでただならぬ殺気を纏うひとらんに思わず苦笑する。オスマンは本気じゃないとわかっているが、ひとらんは真面目なのでそれすらも牽制してしまうのだろう。
結局そのせいでオスマンは部屋の中央に置いてあるクッションで、ひとらんは私の隣で、動物の姿に戻って部屋で寝る事になった。寝る時にもふもふが隣にあって大変幸せだ。
「狭くない？大丈夫？」
『大丈夫。ありがとう(二重の意味で)』
背中を優しく撫でればひとらんはよかった、と微笑み目を閉じる。少し離れた位置にいるオスマンにも就寝の挨拶をして、私もまたそっと目を閉じた。
※※
『ママー！見て！テストで100点取れたよ！』
赤丸で埋め尽くされたテスト用紙を満面の笑みで持って帰ったあの日。私は嬉々として家の扉に手をかけた。
その中から聞こえてきたのは母親の「もう限界」と言う苦しそうな声だった。
「あの子の為にずっと我慢しようと思ってた。でももう、無理なの…！」
「そっか…わかった」
幼い頃の私にはわからなかった。両親がずっと苦しいのを我慢していたことを。
___ママ！パパと今度3人で遊園地行きたい！
___…仕方ないわね。いいわよ
私のせいでそれを隠さなきゃいけなかったことを。
『…ごめん、なさい』
___いい子でいるから捨てないで。
※※
「___、起きて、A…」
『…あ、れ ひと、ら…？』
肩を揺すられて目を覚ます。そこには心配そうに私を覗き込むひとらんの姿があり、彼は私が起きた事に安堵すると共に私の目尻を優しくなぞった。
「魘されてたみたいだから思わず…起こしちゃってごめん」
『ううん…大丈夫…』
起き上がって自分でも確認しようとすれば一雫涙がポタリ、と落ちた。どうやら昔の夢を見て泣いていたらしい。
『あ、れ』
それが合図だったかのように涙はどんどん零れ落ちる。
『ご、めん。大丈夫だから、気にしないで』
こぼれ落ちない様にと腕でゴシゴシ擦れば彼の手がそれを止める。そのまま腕を引かれ、私はひとらんの腕の中にすっぽりと収まった。
「大丈夫」
『っ、』
「大丈夫…俺がそばに居るよ」
___だから、大丈夫。
優しい彼の体温と匂いに私は安心してしまい、再び涙を零した。
.
22.思い出とホットミルク→←※R作品について (必読です)
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遥(プロフ) - 当時はコメントをしておりませんでしたので今更となりますがコメント失礼致します。本作はとても素晴らしい作品で、多忙な毎日の楽しみにさせて頂いていました。本日は誠に勝手ながらそのお礼を伝えたいと思い馳せ参じた所存です。素晴らしい作品を有難う御座いました。 (2021年11月20日 21時) (
レス) id: 9095c0dec3 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。一年ほど前に初めてこの作品を拝見して以来、ずっとこの作品の虜となっておりました。以前このサイトの垢を消してしまったせいでこの作品をもう一度見つける事が出来なかったのですが、今日になって漸く探し出すことができました。 (2021年11月20日 21時) (レス) id: 9095c0dec3 (このIDを非表示/違反報告)
114514 - 心臓が死にかけに……………ぐはっ (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - ふぁこ。さん» ありがとうございます！ヽ(；▽；)ノ最近更新ペースが少し落ちてますが、頑張ります！ (2020年2月26日 13時) (レス) id: 46340c89d0 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ。(プロフ) - 設定と黒瀬さんの文章が好きで、いつもキュンキュンさせてもらってるんですが、突然の戦闘(？)シーンが好きすぎてドキドキしました笑。応援してます！頑張ってください (2020年2月25日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
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