17.妖しい笑顔 ページ18
寝息を立てて寝ているろぼろを自室のベッドに寝かせてリビングへと戻る。ぞむは置いておいたミルクを飲み干し満足気にペロリと口周りを舐めていた。
「ん。おかえりー」
『ぞむはいいの？寝なくて』
「俺は眠ないで。腹減ってん」
んー、と背伸びをするぞむはしっぽを揺らしながら私を見る。どういう事？今ミルク飲んだのに。
『もしかしてお代わり？』
ぞむは昔から大食いだ。何度他の子達のご飯を盗って怒った事やら。
『ダメだよ。食べ過ぎて太っちゃう』
「ちゃうよ。飯やない」
『？』
「腹減ったんは「俺」の方や」
小さな体躯で跳躍し、瞬時に人の姿へと変わる。緑のパーカーを身にまとった「彼」は勢いよく私の方へと飛び込んできた。勢いに耐えれず押し倒されるような体勢に倒れる。
『痛っ！！』
「んははwスマンスマン」
上半身を起こして彼を見るがパーカーを深く被っている為目は見えない。が、二ヒヒと笑ってる様子から叱っても無駄だろうなと思いすぐに諦めた。
『ゾム、重いんだけど』
「Aめっちゃええ匂いするなぁ」
『話聞いて？あと近い』
すんすんと首元に顔を近づけるゾムの胸を押す。が、ゾムはビクともしない上に離れる素振りを一向に見せない。
嫌な予感がしてゾムの目を見た。
『私こっちでやりたい事あるの。だからどいて』
「嫌や」
私の言うことを全く聞かないゾムは猫の時同様に頭をぐりぐり押し付けてくる。人型でも自由なんだな、とため息をついてるとゾムは私の肩をそっと掴んだ。
「…なぁA」
そのままぐっと押されて私の体は床に倒れる。起き上がろうとしても肩を掴む力が強くてそれは叶わない。ドクン、と嫌な予感が駆け巡る。
『な、に』
「Aの血ってどんな味するんやろうなぁ…」
ペロリと舌なめずりをするゾム。
___痛いからやめとき
以前トントンから聞いた言葉を思い出す。あの鋭い牙を肌に立てるのだ、痛くないわけが無い。
「Aって美味しそうやからなぁ…」
口を三日月のように歪ませて笑うゾムは妖しく笑いながら首にキスを落とした。
※※
「…みゃう？」
おすまんはAの姿が見当たらないことに気付いてキョロキョロ見回す。が、姿もしなければ匂いもしなくて近くにいたひとらんの頭の上に乗ってぺしりと叩いた。
「にゃう(ひとらん行くで)」
「…？」
「うなーぅ(Aちゃんとゾムがおらんねん)」
「…わふ(わかった)」
嫌な予感がした2人は兄さんの目を盗んでこっそり家へと向かった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2020人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遥(プロフ) - 当時はコメントをしておりませんでしたので今更となりますがコメント失礼致します。本作はとても素晴らしい作品で、多忙な毎日の楽しみにさせて頂いていました。本日は誠に勝手ながらそのお礼を伝えたいと思い馳せ参じた所存です。素晴らしい作品を有難う御座いました。 (2021年11月20日 21時) (
レス) id: 9095c0dec3 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。一年ほど前に初めてこの作品を拝見して以来、ずっとこの作品の虜となっておりました。以前このサイトの垢を消してしまったせいでこの作品をもう一度見つける事が出来なかったのですが、今日になって漸く探し出すことができました。 (2021年11月20日 21時) (レス) id: 9095c0dec3 (このIDを非表示/違反報告)
114514 - 心臓が死にかけに……………ぐはっ (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - ふぁこ。さん» ありがとうございます！ヽ(；▽；)ノ最近更新ペースが少し落ちてますが、頑張ります！ (2020年2月26日 13時) (レス) id: 46340c89d0 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ。(プロフ) - 設定と黒瀬さんの文章が好きで、いつもキュンキュンさせてもらってるんですが、突然の戦闘(？)シーンが好きすぎてドキドキしました笑。応援してます！頑張ってください (2020年2月25日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
