分からないけれど ページ20
眉間に皺を寄せたメンバーがほぼ同時に俺の方を見る。
kn「え、どういう事や？」
tn「Aくんはこの胡散臭い白い変なのと一緒に怪盗をやりたくて誘ったってこと？」
pkt「変なのってなにww失礼だなぁw」
ケラケラと笑うぴくとに皆は困惑をする。
俺も困惑した。
だって、数年前まではあんなに無愛想だったのに
pkt「実はその事で言いたいことがあってさ」
心を読まれたかと思ってビクッと肩を揺らす。
見なくてもわかる、この真っ直ぐで痛々しい視線はぴくとのものだ。
pkt「本当はAの自宅まで行こうかな〜って思ってたんだけど、なんか、焼かれちゃったみたいだし」
ぴくとは、憎悪たっぷりの声で我々怪盗団を睨む。
喧嘩ならほぼ負けなさそうなトントンでも少したじろぐ。
pkt「A」
『……なに』
ぴくとは「あはっ、立場が逆転してるじゃん！」と楽しそうに息を吐く。
その言葉を聞いた我々怪盗団は、さらに皺を寄せて " はぁ？ " という顔をする。
pkt「ねぇ、こんな失礼な奴らより俺と居た方が楽しいよ？」
『ｯ､』
数年前、俺がぴくとを誘った時の言葉にとても似ていた。
思い出したくもない記憶が脳裏に浮かんでくる。
首筋に汗が流れるような嫌悪感を覚えた。
コネシマが一生懸命俺に話しかけてくれているけれど、何を言っているのか聞こえない。
嫌で、嫌で、嫌で嫌で嫌で、どうしようもなく嫌で
見えない何かに取り憑かれているような感覚で
振りほどきたくて、振りほどけなくて
息苦しくて
まさか言う側と言われる側が逆になるとは思ってもいなかった。
視線を上にあげ、ぴくとと目を合わせる。
ちらっと見えたぴくとの顔は、とても楽しそうだった。
pkt「A、一緒に美術館の管理をしない？」
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作者名：麦芽糖 | 作成日時：2021年9月13日 12時
