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「先輩!」
「どうした?」
立花先輩が振り向く度に綺麗なストレートヘアがサラリと揺れる。
「先輩めちゃくちゃ髪の毛綺麗ですよね!シャンプー何使ってますか??」
「シャンプーはな、」
「じゃなくて!私がこんな役させて頂いてもいいんですか?!」
つい先輩の言葉を遮ってしまった。それもそのはず、かなり動揺している。
先程渡された台本には自分の役が書いてある。1年で役柄が書かれているのはなかなかないはず。しかも、私だけ役が割り振られているようだ。
「なんだ?自分には出来ないと?」
「………いえ、やらせてください。でも、」
「でも、なんだ。」
立花先輩の黒い綺麗な瞳が私の目をのぞき込む。
前にあの洋風美人のボス猿に顔を寄せられた時とは大違い。不快感が全くない。それどころか完成された美に圧倒されそうになる。
「するのは簡単だ。だが、それの完成度をどこまで高くできるか、私たちの場合はどれだけお前の役で観客を感動させられるかだ。」
お前はどれだけの可能性がある?
そう囁く立花先輩は今まで見た何よりも美しいと思えた。
「まあ、頑張るんだな。お前らならできると思ったんだ。」
「
なんだ聞いてなかったのか?と先輩が不思議そうな顔をする。
「お前と鉢屋、2人が1年からの選抜だぞ。」
三郎も、出る?
「カップルの役だからな。お前らいつも一緒に帰ってるだろ?息が合わないと行けない役だからな。」
仲良くしろよ。そう言って私の頭をポンと叩き先輩は歩いて行った。
…………カップルの役?
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