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「あっつ」
部活の筋トレが終わり、1人でトイレに向かっていた時だった。
「ねぇ､Aちゃん。」
そうAを呼び止めたのは三郎と同じクラスの女子、その子の後ろには取り巻きの2人がいる。
ボス猿と手下のサルと言うところ。
洋風美人のボス猿は長い髪をサラリと揺らしながらまた1歩、Aと距離を詰める。
「三郎くんと付き合ってるの？」
＿＿＿ああ、この子もライバルか。
実際三郎は女子からの人気が高い。毎年バレンタインにはびっくりするほどチョコをもらっておすそ分けをしてもらう。もちろん私もチョコはあげるけど。
「付き合ってないよ？なんで？」
すると彼女は腕組をしながらグイ、と顔を近づけてきた。
突然のことに体を固まらせると彼女の形良い唇が顔の横で動く。
『あんたなんかは三郎くんとつり合わない。諦めた方がいいよ？』
なんてありがちな展開なんだ。いつだって恋は行く手を阻まれる。
そこで幸か不幸か、Aの気の強い一面が顔を出してしまった。
「私は諦めないから。」
何年こっちは三郎のこと好きだと思ってんだよ。バカヤロー。
「私、忠告したからね。」
そう言い残すとくるりと踵を返し取り巻きと向こう側へ去っていった。
彼女の付けていた香水の香りがいやに鼻に残った。
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